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カーボンニュートラルでも3E+Sを堅持 大規模水素・アンモニア発電で世界をリード 経済産業省資源エネルギー庁・西田光宏戦略企画室長に聞く

カーボンニュートラルでも3E+Sを堅持 大規模水素・アンモニア発電で世界をリード 経済産業省資源エネルギー庁・西田光宏戦略企画室長に聞く

2021/04/21

2021年11月に開かれるCOP26に向け、日本のCO2削減目標の上方修正は着々と進んでいる。これに併せて、第6次エネルギー基本計画策定の動きも活発だ。エネルギー基本計画策定の事務局責任者である経済産業省資源エネルギー庁の西田光宏戦略企画室長は、報道向け共同インタビューで、急加速する日本の再生可能エネルギー導入拡大と水素、アンモニアの可能性について語る。

国内外の情勢を整理

― 第6次エネルギー基本計画策定の検討をはじめて半年近くなります。審議はどのような経過をたどってきましたか。

西田光宏氏:第6次エネルギー基本計画策定の検討をはじめた2020年10月13日はまだ菅義偉首相のカーボンニュートラル宣言の前でした。

まずは3E+S(エネルギーの安定供給、経済効率性、環境への適合、安全性)の確認からはじめました。検討の視座は前回2018年の第5次エネルギー基本計画を策定してから2年半以上が経ったので、5つの国際情勢の変化を整理しました。

まず1つ目が米国、中国などの自国第一主義の台頭です。2つ目は新型コロナウイルス災禍の影響。3つ目が中東のパワーバランスの変化です。

4つ目が気候変動問題で、頻発する大規模の自然災害について。環境金融の世界でも化石燃料産業へのダイベストメント(投融資撤退)が進んでいます。そして5つ目が人工知能(AI)やデジタル技術などの新たなテクノロジーの台頭についてです。

さらに国内情勢の変化も確認しました。

西日本豪雨や台風19号などのエネルギーの安定供給基盤をゆるがす災害の発生に対するレジリエンス(国土強靭化)の確保の状況についてです。そして日本の少子高齢化社会進展に伴うエネルギー人材の高齢化や、電力設備の老朽化問題も重要な課題です。

また電力完全自由化や再生可能エネルギー大量導入による、調整力を担う電源投資を今後どう確保していくかについてなどを議論しました。

― 本当にめまぐるしい国内外の状況変化ですね。方針はどのように決まりましたか。

西田氏:5つの国際情勢と国内情勢の課題をふまえても3E+Sを目指す視点は変わらないということで有識者会合では合意しました。

さらにそれ以外にもいろいろ視点を加えていきます。安定供給ではエネルギー自給率の確保以外にエネルギーを安定的に供給させるためのサプライチェーンを考慮。

経済効率性の向上については、脱炭素をするうえでコスト増をどう抑制するかについてです。環境への適合については、FIT以降爆発的に増えた太陽電池モジュールの大量廃棄物による環境負荷をどう減らしていくか、といった視点です。

エネルギー基本計画策定は、加速+上方修正へ

― その後、菅首相は2020年10月26日の国会の所信表明演説で日本のカーボンニュートラル宣言をしました。

西田氏:菅首相の宣言を踏まえて第6次エネルギー基本計画策定検討はモードアップ、さらにバージョンアップしました。さきに2050年のカーボンニュートラル実現への道筋を確定させる。50年への道筋ができたら、次に2030年のエネルギーミックス(電源構成)に向けた議論をする、ということとしました。

最初に審議したのが、海外のカーボンニュートラル実現への道筋はどうしているのか、ということです。

英国はシナリオ分析で、80%削減、96%削減、そして100%削減のシナリオがつくられています。その内容は、電化の拡大や、熱源を電気にする。そしてアンモニア燃料などの組み合わせなどについては、日本と状況は同じです。

96%削減シナリオの電源構成はイメージとして再生エネ+CO2回収・貯留(CCS)付きバイオマス発電65%、原発10%となっています。

欧州は優先エネルギー源の整理が進んでいます。エネルギー源として再生エネを軸とした電化が進むのは間違いありません。さらに水素を大量生産するための設備投資も活発です。また安価の天然ガスからのカーボンニュートラルメタンの製造も検討しています。

― 英国と日本は状況が似ているのですね。

西田氏:はい、その通りです。日本は議論の前提として、2050年までの方向性を複数のシナリオで作成します。そして状況変化により適宜見直していきます。

肝はどうやってグリーン電力による電化を加速させるかです。それ以外のカーボンニュートラルエネルギーはメタネーションや水素・アンモニアで賄います。

産業、民生、運輸を整理すると相当量をイノベーションに頼るのが実態です。そのため、菅首相は2兆円のグリーンイノベーション基金をつくりました。

―当初、経産省は2,000億円の予算を要求したら、財務省からは1,000億円に減らせと回答してきました。そこから菅首相の判断でなんと1,000億円の20倍となる2兆円に鶴の一声で決まりました。

西田氏:日本の2050年の電力需要ですが、シンクタンクによってさまざまな試算が出ています。

公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)の試算は3兆kWhです。まず再生エネから導入が進みます。ただ再生エネの導入課題は5つあります。調整力の確保、送電容量の制限、慣性力の拡大、社会制約、そしてコスト増の抑制です。それらの課題を克服しないと大量導入は難しいのが現状です。

例えば太陽光発電を普及させていくといっても日本の森林面積はドイツの2倍あります。日本はすでに、太陽光発電所をつくる適地はかなり埋まってしまっています。そうなると森林地帯を造成しないといけません。

結局コモディティー(国際商品)化している太陽電池モジュールの価格は下がっても、造成費や送電網の接続費用が高くなる傾向にあるので、太陽光発電所を普及させるためにトータルの開発費用を下げるのはかなり工夫が必要となります。

― それでは水素とアンモニア発電の見通しはどうなのでしょうか。

西田氏:火力発電は現状化石燃料ですが、今後水素とアンモニア、そしてCCUS(CO2の回収・利用・貯蔵)などがあります。エネルギーのポートフォリオを石炭や天然ガスなどの化石燃料中心だったものから、水素、アンモニア、CCUSに軸足を変えていきます。

CCUSの課題はやはりコストです。技術的には問題はありませんが、大規模化のコスト低減をこれから考えなければいけません。しかも日本の地質の問題から、国内の適地はそれほどありません。

水素とアンモニアは、最初はそれぞれについて、化石燃料との混焼から導入を進めていきます。水素は天然ガスとの混焼、アンモニアは石炭との混焼です。それから次第に大規模化と専焼に向けて、どのように育てていくのか、イノベーションしだいです。水素とアンモニアの専焼ができましたら非化石価値を埋没させないようにします。それができれば、日本はグローバル市場において、大型水素・アンモニア火力発電をリードできます。

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