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日本が先行しているアンモニア発電は脱炭素の切り札となるか

2021年11月10日

普及に向けた課題とは何か

課題のひとつが、供給量だ。

世界のアンモニア生産量は年間2億トン程度で、貿易量は2,000万トンにとどまり、日本の消費量は約108万トン。一方、石炭火力1基に20%のアンモニアを混ぜる場合、年間50万トンのアンモニアが必要になり、わずか2基で今の国内消費量に相当してしまう。国内生産だけではまかないきれず、安定調達に向けては世界的な供給網を構築する必要がある。

燃料アンモニア利用によるCO2削減と消費量


出典:経済産業省

二つ目の課題が、アンモニアの製造過程にある。

アンモニアは400℃〜500℃の高温、しかも、100気圧〜300気圧という高圧下で窒素と水素を合成して、製造される。窒素は空気中に大量にあるが、問題は水素だ。現状は石炭や天然ガスを改質してつくった水素を原料としている。

つまり、化石燃料由来のアンモニアを使う限り、脱炭素燃料とはいえず、アンモニア発電を完全な脱炭素電源とするためには、水から再生可能エネルギーを使った電気分解で水素を取り出すグリーン水素や、製造過程で出てきたCO2を地中に埋めるブルー水素を使うことが欠かせない。

つまり、グリーン水素やブルー水素の供給が拡大しなければ、カーボンニュートラルなアンモニア発電は実現できないというわけだ。

アンモニアの脱炭素化に向けた取り組みは、原油や天然ガス、石炭の産出国である中東やオーストラリアなどではじまりつつある。

産油国ではじまったグリーンアンモニア製造

産油国のアブダビでは化石燃料からの構造転換に向けて、グリーンアンモニア製造のプロジェクトに取り組む。80万kWの大規模な太陽光発電所の電気を使って、水を電気分解し、年間4万トンのグリーン水素をつくり、この水素から20万トンのアンモニアを合成するという。

世界有数の石炭とガスの産出国であるオーストラリアでも、Asian Renewable Energy Hubと呼ばれる計画が進行中だ。2,600万kWの風力発電、太陽光発電のうち、2,300万kWの再エネから大量のグリーン水素やグリーンアンモニアの製造を目指している。

このほか、欧州では洋上風力の電気を利用したグリーン水素・グリーンアンモニアの計画が複数進行している。

IEA(国際エネルギー機関)は、世界が2050年カーボンゼロを本気で目指すのであれば、2030年までに約18EJ(エクサジュール、ジュールの10の18乗)のブルー水素およびグリーン水素が必要となるが、現状の政策ではまったく足りないと予想している。

2030年のシナリオ別の低炭素水素および水素ベースの燃料供給


出典:IEA(国際エネルギー機関)

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藤村朋弘
藤村朋弘

2009年より太陽光発電の取材活動に携わり、 その後、日本の電力システム改革や再生可能エネルギー全般まで、取材活動をひろげている。

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