あらゆる企業に求められるカーボンフリー エネルギー アンド システムプランニング 加藤真一事業統括本部長に聞く | EnergyShift

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あらゆる企業に求められるカーボンフリー エネルギー アンド システムプランニング 加藤真一事業統括本部長に聞く

あらゆる企業に求められるカーボンフリー エネルギー アンド システムプランニング 加藤真一事業統括本部長に聞く

2019/08/30

カーボンフリー(脱炭素)な社会をどう実現していくか。この、世界中に求められている問いかけが、今後多くの企業にとっても重要なテーマになってくる。それを受けて、各企業に脱炭素推進のコンサルティングなどを行う専門家も出てきている。

エネルギー アンド システムプランニング株式会社の事業統括本部長、加藤真一氏もその一人。加藤氏は14年間、東京電力で環境対策などに取り組んだ後、丸紅でメガソーラーの開発・運営、さらにソフトバンクでも電気の調達などを行ってきた。今後日本でも企業に対して脱炭素の義務化は進むのか、各企業はどのように行動していけばいいのか、など加藤氏に伺ってみた。

企業のカーボンフリーへのロードマップを考える

− 企業にとって、脱炭素といっても簡単なことではないように思いますし、そもそも何から手を付ければいいかまったく分からない、というケースも多いと思います。

加藤:簡単にできることと、努力しなくてはできないことがあると思います。もっとも簡単であり、特効薬ともいえるのが、CO2フリーの電力メニューに切り替えること。たとえば東京電力であれば、水力発電所からの電力を調達するアクアプレミアムに切り替えることにより、使用電力における脱炭素化を簡単に実現することができます。

とはいえ、こうしたメニューは非常に高コストですから、それを払い続けていきますか? ということですね。入口としてはいいと思います。でも、支出に伴うメリットを見出せなければやはり長続きはしないですね。

− 脱炭素というと、すぐにRE100を思い浮かべます。日本でもRE100に加盟する企業が増えてきたと報道などされてはいるものの、超大手メーカーなど、まだごく一部でしかないですよね?

加藤:そうですね。一般の企業がいきなりRE100というのはあまり現実的ではないでしょう。RE100には大企業でないと加盟できないという条件もあります。例えばRE10からはじめていってもいいのではないでしょうか? まずは2030年に向けて、これからどういうロードマップを描いていくか、そこでどう再エネを活用していくか、といったところから考えていけばいいと思います。

まずは、先ほどのような「特効薬」を使うのもいいと思いますが、やはり重要なのは、自分たちでどのように努力していくか、筋道を立てていくことでしょう。太陽光発電の自家消費もひとつですし、その太陽光発電においては自己投資もありだし、第三者保有モデルもいい、またVPP(バーチャル・パワー・プラント)を活用するのもいいと思います。

太陽光発電とコジェネ、それぞれのメリット

− 企業にとっても、やはり太陽光発電が一番のキーになるのでしょうか?

加藤:太陽光発電システムを設置できるのは、工場など大きな屋根を持っている企業で、その躯体がしっかりしていて……といった条件が付いてくるので、すべての企業に当てはまるものではないでしょう。

脱炭素ではなく、低炭素化ではありますが、天然ガスを用いたコジェネの活用というほうが、より現実的ではないでしょうか? コジェネを導入することにより、低炭素化が実現できると同時に、コスト削減もできますし、長距離での送電も不要になるため、エネルギーロスも抑えることが可能です。

また系統から電力を買うのではないため、再エネ賦課金がかからない、といったこともコスト減に効きます。そして何より、ここで発電する際に発生する熱や蒸気を活用できるというメリットが大きいですね。

− コジェネは再エネとは真逆のアプローチのようにも思いますが、低炭素化という点では、大きな意味を持つわけですね。

加藤:その通りです。とはいえ、コジェネを入れれば終わりというほど単純なものではありません。

実際どのくらいのガスをボイラーで消費し、熱を作り、蒸気を生成したのか、そしてどれだけの電気を作ったのか……。時々刻々と変化していく情報をデータ化し、分析して、初めてどのように活かすべきかが見えてくるのです。

せっかくコジェネを導入しても、そこで作られた熱や蒸気をそのまま廃棄してしまっている企業も少なくないのが実情です。

もちろん、会社の規模や業態によっても変わってきますが、年間で見れば蒸気を数億円の単位で無駄に捨てているケースも少なくないですからね。やはりどのようにデータ化して活用していくかが求められているのです。

− どのようにデータ化するのかも難しそうですが、それをどう活用できるかというのも簡単ではなさそうです。

加藤:データ化にもいろいろなレベル、段階があります。どの企業でも日報という形で記録しているので、まずはそれを利用していくところから始めればいいと思います。それを元にしてCSVデータを作成し、グラフ化するなどして見ていくと、いろいろな気づきが出てくるはずです。

さらに、もっと細かくリアルタイムにデータをとっていくことも大切です。

チープIoTなんて言ってますが、高価な測定器を使うのではなく、ネットで簡単に買えるようなセンサーを取り付けていくだけでいいのです。

今後5Gでの通信環境が整えば、より大量のデータを広範囲に、そして遅れなく集めることが可能になると、エネルギーの状況をリアルタイムに把握可能となり、その消費量を下げていくことが可能になるはずです。

グローバル企業だけでなく、
取引先にもカーボンフリーは求められていく

− とてもいい話だとは思います。一方でそこまで投資をして、低炭素化に取り組む企業がどれだけいるのかは疑問に感じるところです。

加藤:それが最大の問題ですね。カーボンプライシングや新しい炭素税といった話もあるので、こうしたものが現実になれば、一気に加速すると思いますが、産業界の反対もあって、難しいでしょう。ヨーロッパではEVに補助金を出すよりも、ガソリン車に課税したほうがいい、といった声も出ていますが、日本でそれができるのかも疑問です。

ただ、グローバルで見れば、低炭素、脱炭素というのが主流になってきていることは間違いありません。そうなったとき、グローバルに展開している企業は、ヨーロッパの基準をクリアしていないと、何も活動できない…といったことになる可能性があります。低炭素化の基準をクリアしない限り、外に出ていけないぞ、と。

− 確かに、世界の潮流となれば、日本だけが無視するというのも、できなくなってくるかもしれません。とはいえ、グローバル展開となると、やはり大企業だけの話ですよね?

加藤:まずはグローバル展開している大企業、そのグループ企業からだと思いますが、そうした企業の取引先も対象になってくる可能性もあります。

ある基準に則っていないと大企業との取引はできない、ということになると、対象は大きく広がります。今すぐ、ということではないですが、そうした未来に対し、早めに備えておいて損はないはずです。

原油価格は下がるが、環境対応は必須に

− そうした規制がなくても、今後、原油価格が大きく上がれば、みんな積極的に低炭素化、脱炭素化を目指すということは考えられますか?

加藤:原油価格は、ここ数年は逆に下がっていくのではないか、と思っています。景気低迷で世界の消費量が下がるのと同時に、中国も環境へとシフトしているために、原油への依存度が下がり、需給バランスの関係から原油価格が下がるという流れです。

天然ガスのほうが高くなっていくのではないか、とも見ています。もちろん、原油をまったく廃止するというのは無理ですから、適度に使っていけばいいのだと思います。

− 改めて、企業の再エネへの取り組みはどのようにしていったらいいのでしょうか?

加藤:やはり規模的・コスト的に導入しやすいのは太陽光発電でしょう。ただ、先ほどお話した通り、大きい屋根などの設置場所があるかというのがポイントとなります。もちろん工場の屋根だけでなく、ソーラーカーポートなんかもいいと思います。敷地があるのなら、野立てもいいけれど、どうしても基礎に費用がかかりますから、そこはよくチェックしていくべきでしょう。

工場で熱を使うのであればコジェネのメリットは大きいですが、そうでない企業なら太陽光発電が現実的でしょう。FIT価格も下がって来年は11円とか12円といっている時代。すでにグリッドパリティになってきているので、自家消費で考えても悪くないものになってきています。

将来を見据え、コストバランスをとって、計画を立てていくのが重要なのではないでしょうか?

−ありがとうございました。

(取材・執筆:藤本健 撮影:寺川真嗣)

加藤真一
加藤真一

エネルギー アンド システムプランニング株式会社 事業統括本部長 東京電力にて事業開発等、丸紅にてPPS事業や再エネ開発、ソフトバンクにて事業開発等。現職にて事業統括本部長としてエネルギー・システムに関わるビジネスを多岐にわたり企画、営業、アドバイスに従事する。

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