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再エネ主力電源化に向けて矢継ぎ早に施策展開 茂木正 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長に聞く

再エネ主力電源化に向けて矢継ぎ早に施策展開 茂木正 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長に聞く

2020/11/02

2020年7月に就任した、経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長の茂木正氏は、これまでに省エネ課長と省・新エネ部政策課長を務めるなど、国の省・新エネ政策のスペシャリストだ。今回、各メディアとの共同インタビューにおいて、日本の再生可能エネルギー主力電源化に向けた環境整備の方針や、省エネ・新エネという分野の垣根を取り払って一体化する分散型エネルギーシステムの普及に向けた意欲などを語った。

地域と共生しながら再エネ社会を実現へ

―再エネの主力電源化に向けた取り組みはいかがでしょうか。

茂木正氏:着実に実現するため、矢継ぎ早に施策をうっていきます。すでに日本全体の電源構成の中で、再エネ電力量が占める割合は16~17%になっています。30年のエネルギーミックス目標22~24%の達成に向けて堅実に取り組んでいきます。グローバル状況は急スピードで変化して、海外では再エネのコスト低下が著しい。日本も地域と共生しながら再エネ社会を普及させます。

資源エネルギー庁はFIP制度やFITの未稼働案件の失効制度、送電線の賦課金方式導入などの施行に向けた詳細設計検討を進めていますが、実効性のあるしっかりした制度にしていきます。

―再エネ分野のなかで、洋上風力発電の普及推進策の議論を積極的に進めてます。

茂木氏:再エネ主力電源化の柱となるのが洋上風力です。重要なのは導入拡大と並んでどれだけ産業育成をしていくかです。洋上風力市場を成長させていくには、メーカーだけでなく率先して発電所を開発するデベロッパーの存在も不可欠となります。

メーカーだけが集まっても開発プロジェクトは成立しません。ではデベロッパーは誰かというと、新規参入の新電力ももちろんそうですが、国内エネルギー事業の最大のデベロッパーである大手電力会社や大手都市ガス会社、石油元売り会社などの公益事業者に期待しています。

公益事業者が新しいエネルギーリソースとして、洋上風力を事業戦略の柱に位置付けて本格的に市場参入しないと日本市場の拡大は限定的になるかもしれない。

資金力があり、エネルギーをマネジメントする経験を豊富に持ち、優秀なエンジニアを多く抱える日本の公益事業者がしっかり市場参入すれば、産業育成や市場拡大はより確実になる。世界的に見ても石油メジャーのBPやロイヤル・ダッチ・シェルなどは、再エネ事業を重要な柱に位置付け、投資を本格的に強化しています。


経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長 茂木正氏

コロナ危機には臨機応変に対応

―新型コロナウイルスによる感染拡大は多くの太陽光発電所開発に影響を及ぼしています。

茂木氏:資源エネルギー庁として(運転開始遅延に対する)統一した対応策を出すことはありません。FIT発電所の開発は個々の事情により異なるので、各々の案件ごとに緩和の是非などの具体的な対応策を判断していきます。

コロナ禍により、行政手続きが全般的に遅延しています。このような状況では、オンラインでできることはオンラインで進めてもらいます。合理的な理由があってどうしても通常のやり方では難しい手続きや工事などはいかんともしがたいのが実情です。代替策でオンライン化や一部申請期間先延ばしなどはあるが、臨機応変にやっていくしかないでしょう。

―具体的にはどのような対応をとるのですか。

茂木氏:それぞれの規制・ルールで求められている書類や期間の柔軟性が可能か、遅延による事業への影響などを踏まえて資源エネルギー庁として対応します。ただ少なくとも悪質業者によるコロナ禍に便乗したFIT発電所の開発緩和については絶対に許可しません。

コロナ禍はここで終わりがあるとか、ここで収束するから大丈夫とはまだみえません。それぞれの人が安全に過ごせるように、接触をさけるなどの社会的通念のなかで対応できる措置を地道にとっていくしかないでしょう。

景気回復刺激策にグリーン投資は重要なキーワード

―コロナ禍による経済活動の停滞は、電力事業さらには再エネ事業にどう影響していますか。

茂木氏:コロナ禍により足元の日本の電力需要は減速しています。電力需要減少は再エネ事業にも影響を及ぼします。
そもそも経済減速のなかでは、それ自体がダイレクトで成長する業種はごくわずかに限られています。エネルギー事業は国全体の経済規模が大きくなるなかで恩恵を受けます。経済活動が縮小していくと当然プラスではありません。そこで重要なのは中長期的なグリーン分野への投資です。経済活性化を考えると、グリーン化は重要なキーワードになります。

―実際のグリーン分野への投資にはなにがありますか。

茂木氏:産業分野の省エネ機器や自家消費向けの再エネ設備導入などのグリーン投資ももちろんで、家をZEH(エネルギー収支ゼロ住宅)にするなど国民生活においてもグリーンインフラを整備していくことが、コロナ禍での景気刺激策に効果的でしょう。

省エネと新エネの垣根を取り除き一体化

―今までの経歴を省・新エネ部長にどのように活かしますか。

茂木氏:2011年の東日本大震災発生直後に省エネ課長を、17年に省・新エネ部の政策課長を務めるなど省・新エネ政策に深く関わってきました。省・新エネ部はエネルギー政策のフロンティアを担う部署です。常に新しい分野に切り込んでいく。扱う分野は再エネ、省エネ、さらに水素、エネルギーマネジメントと幅広い。

新技術を組み合わせて社会実装に向けた新しいエネルギーシステムをどう構築していくかが省・新エネ部の重要な役割です。今までの省・新エネ部の経験を上手く活用して、新しい政策を進めていきたい。

―様々な省エネルギー政策、新エネルギー政策の中でも注目している分野はありますか。

茂木氏:まさに今後の地域社会で、自然災害などからのレジリエンス(国土強靭化)としても期待されている分散型エネルギーシステムの定着です。2020年6月に通常国会でエネルギー供給強靭化一括法が成立し、一括法の中の電気事業法改正で配電事業のライセンス制度が創設されて新規参入企業による配電網の運用が可能となりました。

それにより再エネ、水素、エネルギーマネジメントなど様々な技術を一体化したエネルギーの有効利用を地域社会単位で構築できます。省エネルギー・新エネルギー部の名称には省エネと新エネの間に中黒(・)があります。この「・」をなくしたい。つまり省エネと新エネは別々の概念ではなくなってきていて、どうやって一体的に組み合わせて新たなエネルギーシステムに仕上げていくかが重要です。要素技術の世界から、新しいシステムとしてつくっていく。分散型エネルギーシステムの究極の形を目指します。

社会実装につなげる水素政策

―国内外で水素技術の注目度が高まっています。

茂木氏:再エネ電力から水を電気分解して生成するグリーン水素はCO2のゼロエミッションや脱炭素化に欠かせない非常に重要な技術です。私の感触でいうと欧州も2年前くらいから水素の産業化に本格的に取り組みはじめました。日本の技術力は世界でも一歩先を行っているが油断できません。日々世界との競争を意識していきます。積極的にコミットして大きな産業にしていきたい。

具体的には水素の用途を広げるために、水素スタンド整備や燃料電池車の車種を増やして、商用車やバス輸送など、自動車メーカーをはじめとする様々な企業と連携強化して、社会実装につなげていきます。

またZEH、ZEB(ゼロエネルギービル)や産業機器などの省エネ施策の深堀りや、福島県の新エネ社会構想も着実に進展させていきます。

非効率な石炭火力をフェードアウトさせるための規制措置については、資源エネルギー庁の有識者会合である石炭火力ワーキンググループでしっかり検討しています。従来から省・新エネ部は省エネルギー小委員会の火力発電ワーキンググループで火力全体の平均効率を上げるベンチマークを設定してきました。この制度をどう活用するかなども関係事業者の意見を聞きながらしっかりやっていきます。

(Text:土守豪)

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