ありそうでなかった?! カリフォルニアの "イケてる" 私営電力会社3社まとめ PG&E、SCE、SDG&E その3 | EnergyShift

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ありそうでなかった?! カリフォルニアの "イケてる" 私営電力会社3社まとめ PG&E、SCE、SDG&E その3

ありそうでなかった?! カリフォルニアの "イケてる" 私営電力会社3社まとめ PG&E、SCE、SDG&E その3

2021/04/14

前回は、PG&Eのサービスメニューを紹介した。引き続き今回は、SCEとSDG&Eを紹介する。PG&Eと比較すると、ガス火力発電の割合が高く、そうした点も料金メニューに反映されているように感じられる。また、太陽光発電の割合が高いという点では、日本の電気料金の将来像を考える上でも、参考になるのではないだろうか。

"イケてる" 米国の電力会社(4-3)
カリフォルニアIOU3社紹介 前編はこちら 中編はこちら

SCE

SCEも、PG&Eと同様に、時間帯別料金と3段階料金がある。また、太陽光発電の利用を支援するプログラムも用意されており、集合住宅の太陽光発電を各世帯で利用して料金に反映させるVirtual Net Metering(VNM)にも対応していることも注目される。

Time-of-Use (TOU)

ピーク時を16~21時とするプランと17~20時とするプランの2種類がある。いずれも1日あたり3セントの基本料金と、ベースラインまでの使用量に対し7セント/kWhのベースラインクレジットが発生する。ピーク時が16~21時の「TOU-D-4-9PM」の料金単価は下記の通り。

TOU-D-4-9PM 夏季(6~9月)

TOU-D-4-9PM 冬季(10月~5月)

EVやプラグインハイブリッド保有者専用のTOUプラン「TOU-D-PRIME」では、基本料金やベースラインクレジットは発生しない。また、料金単価も上記2プランより安く設定されている。

TOU-D-PRIME 夏季(6~9月)

TOU-D-PRIME 冬季(10月~5月)

Tiered Rate Plan

電気を使えば使うほど単価が上がっていく3段階の料金プラン。単価設定はPG&Eに近い水準だ。

Demand Response

指定のプロバイダ経由でサーモスタットを購入した家庭向けの「Smart Energy Program」では、デマンドレスポンス要請中にサーモスタットが自動で電気の使用を制御する。報酬は登録時に請求できる75ドルのワンショット・ボーナスがあり、その後も年間で最大で40ドルの報酬が得られる。

一方「Summer Discount Plan」では、エアコンを自動制御するためのスマートリモコンを無料で導入できるプログラムだ。デマンドレスポンスが発動され、エアコンが自動でオフになる際には、スマートフォンのアプリに通知が届く仕組みだ。


出所:SCEウェブサイトより

報酬は節電の度合いによって35ドルから140ドルまで幅がある。140ドルをゲットしたい場合には、最大で6時間の節電が必要となる。

この他にも、省エネ家電や住宅リフォームなども紹介しており、PG&Eと同様にユーザーに積極的に省エネを推奨しているといえるだろう。

SDG&E

規模こそPG&EやSCEよりも小さい会社だが、基本的なサービスは大きく違わないといっていいだろう。住宅用太陽光発電への支援や、集合住宅の太陽光発電に対応したVNMなどにも対応している。また、スマートグリッドに力を入れていることも、SDG&Eの特長といえるだろう。The Borrego Springs Microgridの実証プロジェクトは未来の公益事業を垣間見せてくれるという。

Standard Plan

電力使用量に応じて3段階の料金単価が設定されている。第1段階の使用量が、ベースライン100%ではなく130%とされているところに特長がある。


出所:SDG&Eウェブサイト

Time-of-Use Plans

時間帯によって料金単価が異なるのはほかの2社と同じだが、料金単価がさらに細かく設定されている。ピーク、オフピークに加えてスーパーオフピークという時間帯もある。本プラン内にはさらに3つのプランがあるが、もっとも複雑な「Time-of-Use Plus (TOU DR-P)」を紹介する。

+1.16ドルの「Reduce Your Use」とは、夏季などの需要が多い時期の14~18時にスポット的に電気料金単価に加算される料金で、節電を促す意図がある。



出所:SDG&Eウェブサイト 上が平日、下が週末と休日

Electric Vehicle Plans

EV用の個別メーターを必要とする「EV-TOU」と、個別メーター不要の「EV-TOU-2」「EV-TOU-5」がある。EVだけの電力使用量を確認したい顧客は少なく、ほとんどが「EV-TOU-2」「EV-TOU-5」を選択するという。

どちらも、時間帯によって単価が異なり、ピーク、オフピーク、スーパーオフピークの3つの単価が用意されている。「EV-TOU-5」は「EV-TOU-2」よりピーク・オフピーク時の単価が1セント/kWh高いが、スーパーオフピーク時の単価が割安に設定されている。スーパーオフピーク時の単価は、「EV-TOU-2」が22セント/kWhであるのに対し「EV-TOU-5」では9セント/kWhだ。

EcoChoice

再エネオプションで、50%から100%の間で再エネ比率を選ぶことができる。本オプションの売り上げの一部は環境保護団体に寄付される。再エネ比率は、50%、60%と10%ポイントごとに選択可能だ。再エネ比率が高いほど、月々の電気料金に加算される追加費用も高くなる。

毎月の電力使用量が500kWhの場合、再エネ50%だと11.42ドル、再エネ100%だと22.84ドルが加算される。

EcoShare

需要家が地元の再エネ事業者と直接契約できるシステム。サンディエゴの再エネ開発を需要家が支援できるプログラムという位置づけだが、残念ながら現在登録している再エネ事業者はいない。

Level Pay Program

毎月の電気料金を平準化したい人のためのプログラム。過去12ヶ月の平均額が使用量にかかわらず請求され、差額があった場合は3ヶ月に一度精算されるユニークなプログラムだ。

IOU3社比較でみえたこと

カリフォルニアのIOU(私営電力会社:Investor-Owned Utilities)3社を比べると、各社ともに再エネの普及拡大や節電を含むデマンドコントロールに苦心していることがわかる。また、太陽光発電の導入量が多いエリアだけに、ダックカーブ対策も万全にしなければならない。

同時に、ユーザーに対する省エネへのはたらきかけには強いものがある。電気の販売量が減ったとしても、ユーザーがより低炭素で快適な暮らしができればいいということだ。もちろんそこでは、住宅リフォームや省エネ家電などのビジネスに対する取り組みも見られる。

日本の再エネも太陽光が中心であり、特に九州ではカリフォルニアと同様の問題が懸念されている。夕方をピーク単価としたTOU(Time of Use)プランや、需要家の節電意識を高めるデマンドレスポンスプランの登場に期待したい。また、集合住宅に設置した太陽光発電を住民が利用し、電気料金に反映させるVNM(Virtual Net Metering)は、日本ではまだ導入が難しいサービスだが、こうした点も学ぶものがあるだろう。

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山下幸恵
山下幸恵

九州大学文学部卒。九州電力グループ会社にて大型変圧器・住宅電化機器の販売に従事。新電力ベンチャーにおいて、ディマンドリスポンスやエネルギーソリューションの提案を行う。自治体および大手商社と地域新電力の立ち上げを主管。福岡市にて、気候変動や地球温暖化、省エネについての市民向けセミナーを実施。2019年よりエネルギーライターとして活躍中。

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