次に「2.対策」についてだが、こちらでは特に難しいとされるスコープ3(サプライチェーンを含めた排出)との連携モデル構築を軸に解説が進んだ。
サプライチェーン上流企業との再エネ電源共同保有スキーム(イメージ)
出所:アビームコンサルティング作成
前半でも述べたが、スコープ3の難しさの一端には、企業間で連携を取ろうとした際に負担が生じるというものがある。一方で、今回の示唆ではサプライチェーンの上流企業と下流企業での連携が不可避であることも両社は述べている。特に、下流企業が単独で再エネ調達やGHG排出量算定サービスの導入などを試みても、すべての企業が対応しきるには限界があるため、上流企業と下流企業が相互にWin-Winを築けるビジネススキームの確立が必須だとしている。
具体的には、上流企業と下流企業が共同でオンサイト電源を保有、さらに余剰電力を活用した自己託送によって電力融通の仕組みを作り上げるという物だ。これによって上流企業と下流企業がともにGHG排出削減の目処を立てることができる。
また、日本総研とアビーム両社がまとめあげた「エネルギー需要家企業におけるGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けて」では、上流企業からの継続的な一次データ提供によるスコープ3のGHG排出量算定スキームの構築も重要であるとしている。特に、下流企業が上流企業から提供される実績データに基づいてGHG排出量を算定する「一次データ活用方法」においては、こちらも上流企業と下流企業の双方がメリットを受けられるようにする必要がある。上流企業から下流企業に情報開示を行っても、それは上流企業のコストアップを招く。さらに、単純に原材料を調達する下流企業が上流企業に一次データの開示を求めるだけでは、継続的かつ正確なデータ収集には結び付きにくいとしている。
故に、上流・下流ともに自社の実績データを提供することでインセンティブが得られる仕組みを構築することも提案しているのだ。
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