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SMaaSを通じたメータービジネス新時代へ アズビル金門・上西正泰社長に聞く

SMaaSを通じたメータービジネス新時代へ アズビル金門・上西正泰社長に聞く

EnergyShift編集部
2020/03/16

アズビル金門・上西正泰社長に聞く

2019年11月、アズビル、アズビル金門、東光高岳、東光東芝メーターシステムズの4社は、エネルギーマネジメント領域における協業に向けた検討を開始した。ポイントとなるのは、電気だけではなく、ガス・水道メーターがこの領域でつながっていくということだ。その先にどのようなサービスが展開されるのか、期待がふくらむ。ガス・水道メーター事業を担う、アズビル金門の上西正泰社長に、SMaaSという新たな概念と事業の将来像をおうかがいした。

期待される、ガス・水道メーターのスマート化

― 電気については、スマートメーター化が進んでいますが、ガスや水道のメーターはこれからだと思います。とはいえ、これらのメーターのスマート化も、いずれは避けられないと思います。今日はそういった方向でお話しをおうかがいしますが、最初に御社のメーター事業について、概要およびその強みについて、簡単にご説明ください。

上西正泰氏:最初に、全国のメーターの数からお話しします。ガスメーターは都市ガスとLPガスを合わせて、およそ5,200万台、水道メーターはおよそ5,500万台、電力メーターはおよそ8,000万台あります。約2億台近くのユーティリティメーターのうち、当社製造のメーターが約2,000万台、市場で稼動しています。

新たなエネルギー・マネジメント・サービスの展開を考えていく上で、データをシェアするだけではなく、ガスメーターと水道メーターというプロダクトを当社が持っていることは強みになっていくと考えています。ビッグデータを扱うにあたってITだけではなく、足回りも、動かせる手もあるということです。

アズビル金門 上西正泰社長

― ガスメーターと水道メーターのスマート化は進んでいるのでしょうか。

上西氏:当社を含め、いくつかの会社がスマートメーターを販売していますが、本格的な普及はこれからといったところです。LPガスは比較的進んでいて、全国で600万台くらいが、何らかの通信手段でつながっています。
一方、都市ガスはこれから普及期を向えます。水道はほとんど進んでいません。公営事業者にとって、コストメリットを見出だしにくく、ハードルが高いようです。

「計る」アナログメーターから「測る」スマートメーターへ

― ガス・水道メーターをスマート化していくメリットを、どのようにお考えでしょうか。

上西氏:これまでのメーターは、「計る」ことが重要でした。請求金額を決めるために計るわけです。これに対して、スマートメーターは「測る」機能が入ってきたと考えています。つまり、センシングの機能です。

どういうことか、自動車のメーターを例にすると、計るというのは、走行距離に対応したものです。しかし、実際にはどういった速度で走り、どこでブレーキを使ったのか、そういった走る状態に対応したデータもあります。これに対応するのが、測るということです。

スマートメーターでは使用量だけではなく、暮らし方、機器の使い方も推定し、「見える化」ができます。こうしたデータを使って、さまざまなサービスを提供することができるのです。
電力のスマートメーターだけでなく、これにガスや水道のスマートメーターによるビッグデータが加わることで、より高度なサービスが可能になると考えています。

― 具体的には、どのようなサービスが可能なのでしょうか。

上西氏:まだまだ検討が始まったばかりです。よく議論にのぼるのが、見守りや不在を知らせるサービスです。プライバシーの問題を別にすると、電力以外のデータを活用することで、体調までわかるようになるかもしれませんし、不在なだけではなく、在宅していても入浴中など、訪問して欲しくないということもわかるかもしれません。
もちろん、もっと多様なサービスが考えられるでしょうし、私たちもしっかり取り組んでいきたいと考えています。

「モノ」消費の時代から「コト」消費の時代へ対応していく

―先ほど、シェアではなくプロダクトを持つことそのものが強みだとおっしゃいました。

上西氏:時代は「モノ」消費から「コト」消費に転換していく流れにあります。
例えば、トヨタ自動車がUberに出資したことなどが象徴していますが、自動車産業も自動車をたくさん売ることから、移動することそのものを提供する方向にシフトしていくでしょう。

当社においても、メーターのデータを活用してお客様、社会に貢献し、その対価を頂戴するビジネスに挑戦していくということです。メーターは手段でしかなく、社会の課題を解決していくことそのものが、私たちの使命だと考えています。

― そうすると、メーターのデータ活用にあたっては、自社のメーターにこだわらないということでしょうか。

上西氏:その通りです。データを活用するシステムそのものは、どのメーターでもつながるようにしたいと考えていますし、同時にサービスそのものが価値を生み出すようにしないといけません。この2つを両輪として、まずは実証をしていくところから始める予定です。
どの会社のメーターでもつながる、ということだけではなく、アプリケーションの開発についても、オープン指向で考えています。

SMaaSを支えるデータプラットフォームサービスの構築

― ということは、御社の事業は、メーターのメーカーやアプリケーションの開発会社に開放された、データプラットフォーム事業という理解でよろしいのでしょうか。

上西氏:その通りです。そうした中にあって当社が担うのは、ガスや水道のデータのプラットフォームになります。これが、例えば電力データのプラットフォームなどと連携することで、便利な社会を作り上げていく基盤ができればいいのではないでしょうか。

― 最近、SMaaSという概念を提唱されています。どのようなことでしょうか。

上西氏:これは、Smart Metering as a Serviceの略です。すでに、ヨーロッパなどではSMaaSという言葉は使われていますが、日本でもこれを広めたいと思っています。

繰り返しになりますが、当社は今までメーターを販売してきました。しかしお客様が欲しいのは、メーターではなく「測る」ことであり、「測った結果」です。したがって、測ることそのものを、サービスとして提供する、というのがSMaaSということになります。
そしてその先に、デジタルトランスフォーメーション(DX)があります。暮らしの中のDXがあり、事業者側にもDXがある。そこを橋渡ししていきたいと考えています。

― 今後、どのように展開していくのでしょうか。

上西氏:まず、お客様といっしょにどういう価値をつくっていくのか、考えていきたいと思います。アズビルグループは、人を中心としたオートメーションで、お客様の現場で価値をつくってきました。その延長で展開していくものになるでしょう。

― エネルギー業界全体も変わっていくと思います。

上西氏:それぞれのエネルギー事業の境目はなくなっていくのではないでしょうか。
また、エネルギーはより環境負荷の低いエネルギーにシフトしていくと思われますが、メーターという切り口でこれを支えることもあるでしょう。
中長期的には、測り方そのものが、もっと変わっていくと思います。電力量やガスの量を測るのではなく、楽しさを測るようなことになるかもしれません。

遊園地は、昔はアトラクションごとにお金を払っていました。しかし現在は、1Dayパスのようなものが主流です。アトラクションにお金を払うのではなく、1日どれだけ楽しく過ごすかということにお金を払っている、ということです。
こうしたことも含め、いろいろな「はかる」に挑戦していきたいと考えています。

参照:アズビル金門のリリース
azbil グループ、東光高岳グループにおける協業に向けた検討への合意のお知らせ」2019年11月1日

プロフィール

上西 正泰(うえにし まさひろ)

アズビル金門株式会社 代表取締役社長
1965年生 和歌山県出身。1989年 同志社大学工学部工業化学科卒業、1990年 山武エンジニアリング株式会社(現アズビル株式会社)入社、2006年 株式会社金門製作所(現アズビル金門株式会社)営業本部都市ガス機器営業部(次長)、2011年 アズビル金門台湾株式会社(董事長)、2012年 アズビル金門株式会社(執行役員)を経て、2015年 アズビル金門株式会社(代表取締役社長)就任。
https://ak.azbil.com/

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