東京海上、規制影響分析により企業の脱炭素リスクを算出 | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

東京海上、規制影響分析により企業の脱炭素リスクを算出

東京海上、規制影響分析により企業の脱炭素リスクを算出

2021年10月19日

東京海上日動火災保険は環境規制によって企業が負うコストや財務リスクを即時に分析するサービスを2022年度にも始めると日経新聞が報じた。このほど出資した、気候変動リスクの研究を手がける英リジリエンスと協同でサービスを始める。欧米や中国などでは環境規制が強化されつつあり、進出国における規制対応や脱炭素リスクを分析し、日本企業に提供するという。料金体系は今後、売上高など事業規模に応じて設定する予定だ。

炭素税の導入や化石燃料補助金の撤廃など、各国の政策変更の影響を細かく算出する。さらに、自然災害に伴う損失リスクだけでなく、環境規制による影響まで分析。規制対応のコスト負担のほか、進出先での購買反対などによる売上高の減少も試算し、経営の意思決定に役立つ情報を提供する。

企業経営においては、脱炭素社会への移行に際し、政策、法規制、技術および市場の変化から生じる影響を受ける可能性が高まっており、各国の規制対応や気候変動リスクの把握は喫緊の課題となっている。

具体的には、まず利用する企業が工場やオフィスを設ける国・地域、工場の生産量やオフィスの延べ床面積、仕入れ先や販売先などを入力。すると即時に影響額を算出してくれる。工場の配置や仕入れ先などの条件を変更すると算出結果が変わるため、複数の試算結果を比較し、計画を決める際の材料として活用できるという。

例えば、対象国が今後5年間で脱炭素の対策をしない場合やパリ協定に準拠する温暖化対策をした場合など、複数のシナリオに沿って企業の財務諸表や事業内容、利益や時価総額への影響額を算出する。

東京海上は、気候変動関連の国際的な開示の枠組みを提示する「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の創設時のメンバーかつTCFDの署名企業であり、情報開示を通じてTCFD提言への支持を表明している。2030年までに温室効果ガス排出量の60%削減目標を設定し、本社ビルを含む主要拠点での100%再生エネルギー化を目標として掲げている。

出資先である英リジリエンスは2016年、低炭素社会に移行する際のリスクシナリオを研究する英ケンブリッジ大学の専門家チームが設立。今回のサービスでは分析を基にシナリオを作成し、リスクの発生確率を求め、評価モデルを運営する。

欧米では先行してTCFDに準拠した脱炭素の情報開示が急拡大している。日本国内においても、2022年4月から、一部上場企業に対して、気候変動リスクに関する情報開示が義務付けられている。

企業が気候変動リスクへの対応により積極的になり、日本全体の気候変動対策、地球温暖化対策を後押しする効果が期待されている。 

EnergyShift関連記事
TCFD開示企業は急増 金融機関とのタッグで脱炭素推し進められるか
日本でも「TCFD」が義務化へ。企業はどう対応すべき?
コーポレートガバナンス・コードにも脱炭素 気候変動、TCFD項目が追加 6月に改訂予定

EnergyShift編集部
EnergyShift編集部

EnergyShift編集部

ニュースの最新記事