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脱炭素から「活炭素」へ CO2を資源にする動きが本格化

2022年02月15日

セメント工場のCO2を再資源化

セメント分野では、CO2回収型セメント製造プロセスの開発として、太平洋セメントが「製造プロセスにおけるCO2回収技術の設計・実証」を実施。

セメント製造工程で排出されるCO2を再資源化し、セメント原料や建設資材として再利用する技術を開発する(図4)。

図4:事業イメージ


出所:NEDO

住友大阪セメントは、「多様なカルシウム源を用いた炭酸塩化技術の確立」を実施する。CO2を生成物に取り込む技術によって、廃コンクリートや一般焼却灰などに含まれるカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)等のアルカリ源を抽出・再利用し、カーボンリサイクルセメントを製造することによりカーボンニュートラルを目指す(図5)。

図5:事業イメージ


出所:NEDO

既にセメント産業では、CO2削減対策のため、省エネ設備導入やエネルギー代替廃棄物利用などによる化石燃料削減や、自家発電設備をバイオマス等の再生可能エネルギーへの転換などによるCO2削減の取組も着実に進めている。

一方、石灰石から必然的に大量発生する原料由来のCO2を効率的に回収し、カーボンリサイクルを進めるためには、セメント製造時におけるCO2を回収し、回収したCO2をリサイクルするための大規模な設備の導入や、CO2を固定化するための大量のアルカリ源の確保などが必要となる。

民間企業は、国の支援を呼び水として研究開発を始めとした投資を加速させ、着実に取り組みを開始している。今後、持続的な資源循環システムが実現できるイノベーションの創出・普及を実現することが期待される。

 

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東條 英里
東條 英里

2021年8月よりEnergyShift編集部にジョイン。趣味はラジオを聴くこと、美食巡り。早起きは得意な方で朝の運動が日課。エネルギー業界について日々勉強中。

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