日本国内では、脱炭素社会の実現に向けて、国産材の活用が促進されている。また、昨年から北米産の木材価格が高騰するウッドショックの影響で、国内では輸入材の調達が困難になったこともあり、国産材の活用はさらに注目を集めている。一方で、日本の国土面積に占める森林の割合はおよそ66%とされているにも関わらず、木材の自給率が37.8%にとどまるなか、大東建託は賃貸建物のうち7〜8割が木造だ。同社の国産材活用に向けた取り組みを紹介する。
今年の10月が「木材利用促進月間」だとご存知の方はどのくらいいるのだろうか。
経済産業省は今年6月、木材の利用の促進についての関心と理解を深めるため、漢字の「十」と「八」を組み合わせると「木」という字になることにちなみ、10月8日を「木材利用促進の日」、10月を「木材利用促進月間」と定めた。
脱炭素社会の実現に向け、国民の木材利用についての関心と理解を深めるための普及啓発が重要視されるなか、国内住宅メーカーの大東建託は、国産材の活用拡大に取り組んでいる。
大東建託が日本で初めて国産材を賃貸住宅に導入したのは2009年。当時、林業の盛んな熊本では地元で木材の活用が進まず森林の手入れが行き届かなくなったことで、立ち枯れする木が増え、土砂災害の原因にもなっていた。
そんななか熊本支店で地元の林業関係者や材木メーカーの「地元の木材を賃貸住宅に活用できないか」という声を受けたことで、国産材導入に向けた検討を始める。熊本支店と地元の材木メーカー、林野庁と連携した結果、賃貸住宅建築への地元産スギ材の利用が始まった。
国産材を活用する地域は、2009年、熊本を皮切りに、2015年には九州全域に拡大。2012年には、東日本大震災復興支援の一環として、宮城県でも国産材を導入。さらに2018年には群馬県で県産の木材「ぐんまの木」を導入した。現在は、九州全域と宮城県、群馬県で同社が建設する木造賃貸住宅のスタッド(間柱)材に国産のスギ材が使用されている。
現在、同社が全国で供給している賃貸建物の約7~8割は木造で、2020年度は建築した全4,731棟のうち3,329棟の建物が木造2×4工法でつくられている。このうち、国産材を活用している地域では約1万5千m2の国産材が使用されているという。
今後、スタッド材以外の部分への国産材導入も検討している。また、国産材を導入する地域の拡大や、現在導入されているスギに加え、カラマツやヒノキといった木材の種類も拡大すべく検討を続ける。
建築する建物において国産材の活用を進めることで、国内林業の保護や脱炭素社会実現への貢献につなげたいとしている。
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