今回報じられたのは、自動車メーカーの間で、できるだけ部品の在庫を持たない効率重視の調達戦略を見直す動きが広がってきたというもの。
例示で上がったのは、トヨタ、日産、スズキなどで、半導体の在庫を積み増すほか、レアメタル権益を自ら確保するメーカーも出てきたという。
いまは脱炭素の時代だ。EVにしろ、FCVにしろ、HVにしろ、電動化は半導体の需要量増加となり、そして、半導体が欠落することは、最終生産物の減少、つまり減産につながり、当然売上も減る。
レアメタルも半導体も戦略部品だ。そうした戦略部品の奪い合いが起き、安定確保の目途が立たなければ、どういう戦略をメーカーは取るのか。
そう、「有事に備えて在庫を持つ」となる。
そのため、サプライチェーンまで巻き込んだジャストインタイム方式でのスリム化、無駄削ぎは刷新される格好になる。もちろん、例えばトヨタ内でのカンバン方式、ジャストインタイムはできるのだが、半導体などの在庫はこれまでと違い余分に持たざるをえない。
ちなみに、今回の報道によると、トヨタは半導体の在庫水準を従来の3ヶ月分から5ヶ月分まで増やすよう一部の取引先に伝えている。また、VW(フォルクスワーゲン)などは1年以上の長期契約を半導体メーカーと結んだという。こうした囲み込みは、欧米企業がPPAという手法で再エネを買いあさるのとどこか似ている。取得競争が激化し、安定供給に影響が出るくらいなら、そして価格変動のリスクが市場であるくらいなら、早めに囲って、リスクを最小化し、事業や収益計算が立つようにしよう、そういう算段だ。
これもまた一つ、脱炭素時代の特徴といえるのかもしれない。
ただ、こう聞くと、「トヨタ、ピンチなんじゃないか」と思う人もいるだろう。ところが、この状況下でもトヨタは業績を伸ばしている。そう、実はトヨタ、不測の事態を想定し、もっと前から準備していたのだ。
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