トヨタ・日産の持たざる経営に転機は本当か? 分析で見えるトヨタの本当の強さとは。 | EnergyShift

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トヨタ・日産の持たざる経営に転機は本当か? 分析で見えるトヨタの本当の強さとは。

2021年09月17日

自動車メーカー各社はどう転換するのか

今回報じられたのは、自動車メーカーの間で、できるだけ部品の在庫を持たない効率重視の調達戦略を見直す動きが広がってきたというもの。

例示で上がったのは、トヨタ、日産、スズキなどで、半導体の在庫を積み増すほか、レアメタル権益を自ら確保するメーカーも出てきたという。

いまは脱炭素の時代だ。EVにしろ、FCVにしろ、HVにしろ、電動化は半導体の需要量増加となり、そして、半導体が欠落することは、最終生産物の減少、つまり減産につながり、当然売上も減る。

レアメタルも半導体も戦略部品だ。そうした戦略部品の奪い合いが起き、安定確保の目途が立たなければ、どういう戦略をメーカーは取るのか。

そう、「有事に備えて在庫を持つ」となる。

そのため、サプライチェーンまで巻き込んだジャストインタイム方式でのスリム化、無駄削ぎは刷新される格好になる。もちろん、例えばトヨタ内でのカンバン方式、ジャストインタイムはできるのだが、半導体などの在庫はこれまでと違い余分に持たざるをえない。

ちなみに、今回の報道によると、トヨタは半導体の在庫水準を従来の3ヶ月分から5ヶ月分まで増やすよう一部の取引先に伝えている。また、VW(フォルクスワーゲン)などは1年以上の長期契約を半導体メーカーと結んだという。こうした囲み込みは、欧米企業がPPAという手法で再エネを買いあさるのとどこか似ている。取得競争が激化し、安定供給に影響が出るくらいなら、そして価格変動のリスクが市場であるくらいなら、早めに囲って、リスクを最小化し、事業や収益計算が立つようにしよう、そういう算段だ。

これもまた一つ、脱炭素時代の特徴といえるのかもしれない。

ただ、こう聞くと、「トヨタ、ピンチなんじゃないか」と思う人もいるだろう。ところが、この状況下でもトヨタは業績を伸ばしている。そう、実はトヨタ、不測の事態を想定し、もっと前から準備していたのだ。

前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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