トヨタ・日産の持たざる経営に転機は本当か? 分析で見えるトヨタの本当の強さとは。 | EnergyShift

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トヨタ・日産の持たざる経営に転機は本当か? 分析で見えるトヨタの本当の強さとは。

2021年09月17日

トヨタが半導体不足下で打った逆転打とは

2021年第2四半期、トヨタは史上初めて米国市場で「販売1位」の座についた。

7月6日(現地時間)付の米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、今年の4月から6月までの米国市場でのトヨタの販売量は、前年同期対比で73%増加し68万8,813台を記録。同期間に68万8,236台を販売したGMを僅差ではあるものの上回ったことで、米国市場で強固な座を誇っていたGMを追い越すことに成功した。

GMが四半期別の販売量で1位を明け渡したのは、1998年フォード自動車に抜かれて以来今回が初めて。その要因は、GMがこけたというところが大きい。もちろん理由は半導体だ。世界的な半導体の供給難により、北米工場の稼働が中断した影響が直撃した。

一方のトヨタは先述の分析どおり、10年前の教訓から、この影響を「限定的」におさえることに成功。その結果、北米市場で、史上初めての1位を日本勢として取るに至った。

ジャストインタイムで無駄を徹底的に削ぎながら、おさえるところはしっかりおさえる。半導体については、元々、トヨタは持たざる経営をしていなかった。持たざる経営の転換と一律にくくられる中、トヨタは他社とは性質が異なる指示、在庫量の積み増しをメーカーに出していた。

では、今後の展望を解説しよう。

半導体不足が収束しない中、どうかじ取りすべきか

半導体不足は収まる気配がない。

しかも、米中が半導体戦争をするなど、国際マターになってきている。欧州も「アジアの半導体に頼ってばかりでいいのか」と、9月15日、アジア製半導体への依存からの脱却を目指し、EU域内の研究開発や生産を推進するための新法「欧州半導体法」の制定を目指すと明らかにしたが、それもまさに、こうした国際情勢由来の外部要因を踏まえてのことだ。

日本もファウンドリ含めてしっかり日本勢で固めて、外部要因などを減らしておくべきだろう。

グローバリズムの終焉が2018年ごろから見え始めていたこともあり、この辺りが潮目だった。今回の欧州の発表やアメリカの半導体戦略などを見ても、どれも自国第一主義。そんな中で、日本を救う余裕は各国もなく、やはり自分の身は自分で守らないといけない。

トヨタは、3.11の教訓からサプライヤーに在庫を持つよう指示していたが、ただ、そうはいっても、トヨタの根幹はいまでもジャストインタイム方式だ。原理を説明したが、サプライチェーンの上流が閉まると、完全にアウトになる方式でもある。自分で在庫を持たない限りは。

トヨタというジャイアントであっても、日本勢でしっかり支えなければ、足元をすくわれかねない。半導体にはさまざまな種類があるが、トヨタはじめ多くの日本勢のサプライヤーであるルネサスエレクトロニクスなどには、頑張ってほしい。

半導体、蓄電池といった脱炭素の必需品を本当におさえていかなければ、日本に大きな影響が出る。国全体で連携して取り組むべきだ。

今回はこの一言でまとめよう。
『半導体をおさえることが死活的に重要であることが改めて浮き彫りに』

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前田雄大
前田雄大

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