ルノーも水素参入! パラダイムシフトで水素自動車のトップシェアを狙う「RENAULUTION」 | EnergyShift

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ルノーも水素参入! パラダイムシフトで水素自動車のトップシェアを狙う「RENAULUTION」

ルノーも水素参入! パラダイムシフトで水素自動車のトップシェアを狙う「RENAULUTION」

2021/02/12

ヨーロッパにおける水素を燃料とした燃料電池自動車へのシフトは、商用車から始まりそうだ。ルノーが水素開発大手のプラグパワーと合同会社を設立し、欧州シェア30%の獲得を目指す。ルノーは、新戦略計画「RENAULUTION」を掲げ、早々と自動車を扱うテクノロジー会社への脱皮を宣言した。

米水素開発大手とタッグ、合弁会社立ち上げへ

2022年1月12日、フランスのルノーグループ(GROUPE RENAULT)は、水素・燃料電池企業のプラグパワー(Plug Power)と合弁事業を立ち上げることについて、MOU(覚書)に署名したことを発表した 。2021年夏ごろまでにフランスを拠点として設立し、欧州の小型商用車市場において燃料電池車のシェア30%を目指す。両社の出資比率は50:50だ。

欧州のタクシーや配送用バンといった小型の商用車市場(LCV:Light Commercial Vehicle)は、ディーゼル車にとってかわるクリーンエネルギー自動車として、急成長が見込まれている。こうしたことから、ルノーの自動車に関する技術と、プラグパワーの水素や燃料電池についてのノウハウを合わせ、水素燃料電池によるLCVの開発を急ぐ。


RENAULUTION ロゴ

両社は、水素LCV開発の柱に「研究開発」「製造」「販売」を据えた。まず、開発拠点となるイノベーションセンターを設立し、水素LCVの技術開発に力を注ぐ。当初は大型バンの開発に焦点を当て、ルノーが持つ技術プラットフォームを流用する。

次に、ルノーの垂直統合型の製造ラインにプラグパワーの水素技術を組み合わせた製造センターをフランスに構える。このセンターには水素ステーションも併設される予定だ。販売においては、両社のパートナーシップを通じて、車両、水素燃料ステーション、水素燃料、およびサービスを顧客に提供する水素自動車エコシステムソリューション企業が誕生することになるという。

ルノーCEOであるLuca de Meo氏は「このプロジェクトは、LCVに水素によるソリューションを提供する当社の戦略と完全に一致している。プラグパワーと協力して独自のエンドツーエンドの燃料電池バリューチェーンを構築することで、車両からグリーン水素供給に至るまで一貫したソリューションを提供する。フランスを水素技術の開発拠点として位置付け、燃料電池LCV市場においてヨーロッパを牽引するよう目指す」と述べた。

風の時代、ルノーの新戦略は「量より質を重視」

合弁会社設立の報から2日後、ルノーはグループの戦略を量から質へとシフトする新しい戦略計画「RENAULUTION(ルノーリューション)」を発表した。この新計画は、「復活」「リノベーション」「革命」の3つのフェーズに沿って実行される。「復活」では、2023年までに経済的な復活を果たす。「リノベーション」では、2025年までにラインナップを一新しブランドの収益性向上を狙う。もっとも注目すべき「革命」では、ビジネスモデルをテクノロジー、エネルギー、モビリティに転換するという。革命のリミットも2025年だ。

ルノーが自動車というジャンルを超え、テクノロジー、エネルギー、モビリティ分野への大転換を行うという宣言は、刮目に値する。競争力の回復のため、モビリティやエネルギー、データ関連サービスを加速させるという。モビリティとエネルギー、デジタルとの関係が切っても切り離せないものであることが、ここでも証明されている。

我々はテクノロジーを扱う自動車会社から、自動車を扱うテクノロジー会社に移行する

さらに興味深いのは、ルノーが率先して販売台数至上主義を捨て「もはや市場シェアと売上高ではなく、収益性、キャッシュフロー、投資効果によって業績を測る」と宣言していることだ。同社は2023年までにグループ営業利益率を3%、2025年までに5%とすることを目指す。

ここで、同社プレスリリースからLuca de Meo CEOの言葉をあえて引用したい。「我々はテクノロジーを扱う自動車会社から、自動車を扱うテクノロジー会社に移行する(We’ll move from a car company working with tech to a tech company working with cars)」

プラグパワーは水素開発のグローバルリーダー

ルノーがパートナーに選んだプラグパワーは、アメリカを拠点とする水素開発企業だ。2000年代初頭から水素研究を続け、40,000件超の燃料電池システムや110ヶ所の燃料補給ステーションを世界中で建設してきた。供給する水素は毎日40トン以上だ。同社の顧客にはAmazonやBMW、WalMartが名を連ねる。水素開発のグローバルリーダーと呼んでも差し支えないだろう。

今回のルノーとのMOUに関連して、同社のブログでは、水素はディーゼルにとってかわるとしている。EVが多数を占める中で、燃料電池自動車は、航続距離と充填時間の面で、優位性があり、トラックなどに適したものだと述べている。

1月6日、プラグパワーは韓国大手のSKグループと戦略的パートナーシップを形成し、アジア市場における水素経済を拡大するため、SKグループから15億ドルの投資を受けることに合意した 。成長著しいアジア市場への進出のため、韓国にも合弁会社を設立する予定だという。韓国政府は2019年1月、2040年までの水素経済ロードマップを発表している。定量的な導入目標も明示しており、2040年までにFCV620万台、水素ステーション1,200ヶ所の配備を目指している。


プラグパワーの水素運搬トラック

負けられない日本勢、トヨタの対抗策は?

日本のトヨタも負けてはいない。2020年12月、トヨタの欧州法人は、ヨーロッパにおける新たな燃料電池ビジネスグループを設立した 。ブリュッセルを拠点に、水素の燃料電池自動車の生産能力を劇的に強化する。欧州地域のエコシステムとモビリティサービスに着目し、エネルギー拠点のハブとなる水素インフラを整備する。

2021年には「究極のエコカー」とされる燃料電池自動車「MIRAI」の新型モデルが発売される。水素激戦地の欧州においても、日本勢の存在感をしっかりアピールできるよう頑張ってほしい。

参照
ルノーとプラグパワーの合弁事業に関するMOUについて
ルノーグループの「RENAULUTION」戦略計画について

山下幸恵
山下幸恵

九州大学文学部卒。九州電力グループ会社にて大型変圧器・住宅電化機器の販売に従事。新電力ベンチャーにおいて、ディマンドリスポンスやエネルギーソリューションの提案を行う。自治体および大手商社と地域新電力の立ち上げを主管。福岡市にて、気候変動や地球温暖化、省エネについての市民向けセミナーを実施。2019年よりエネルギーライターとして活躍中。

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