2030年の風力発電、導入量の推計は 第28回「再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」 | EnergyShift

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2030年の風力発電、導入量の推計は 第28回「再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」

2030年の風力発電、導入量の推計は 第28回「再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」

2021/03/19

資源エネルギー庁の「再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」では、2030年エネルギーミックスの具体化に向けた検討の一助とするため、電源種別ごとに研究機関や事業者等から連続的にヒアリングをおこなっている。2021年3月15日に開催された、再エネ大量導入小委の第28回会合では、風力発電を対象として自然エネルギー財団、電力中央研究所、日本風力発電協会の3団体がプレゼンをおこなったので、その内容を抜粋しご報告したい。

審議会ウィークリートピック

自然エネルギー財団ヒアリング

自然エネルギー財団は2030年の風力発電導入可能性として、現状政策ケースと転換促進ケースの2つの数値を提示している(1GW=100万kW)。

表1.2030年の風力発電導入可能性

 陸上洋上合計
導入容量現状政策:16.6GW
転換促進:19.2GW
現状政策:6.8GW
転換促進:10.1GW
現状政策:23.4GW
転換促進:29.3GW
発電電力量現状政策:450億kWh
転換促進:520億kWh
現状政策:190億kWh
転換促進:290億kWh
現状政策:640億kWh
転換促進:810億kWh
単価の見通し2030年度:7.4円/kWh2030年度:5.6円/kWh 

出所:自然エネルギー財団資料を元に筆者作成

自然エネ財団では導入量の想定根拠として、現状政策ケースでは環境アセスメント手続中の案件のうち、「準備書」段階にあるものは100%、「方法書」段階にあるものは90%が2030年度までに運転開始すると想定している。

また転換促進ケースでは、環境アセスメント手続中の案件のうち、「配慮書」段階のものは40%が2030年度までに運転を開始し、系統運用の合理化と計画済の地域間連系線の建設がおこなわれ、接続検討申込段階のものも2030年度までに運転開始すると想定している。

なお他の団体と比較して自然エネ財団の推計値は、導入容量に対して発電電力量がかなり大きな値となっている。資料中にはその根拠は示されていないが口頭説明の中で、陸上風力の平均設備利用率を30.5%(25%~34%のバラツキ)と見込んでいるとの補足がなされた。

また導入ペースに関して環境アセスメントの関連では、陸上・洋上いずれとも環境影響評価手続き書類に運転開始予定が記載されている計画はこれに基づくこととして、それ以外については方法書段階にある案件は、陸上では6年、洋上では8年のリードタイムを自然エネ財団では想定している。

電力中央研究所ヒアリング

電力中央研究所(電中研)による2030年における風力発電導入推計は表2のとおりであり、2019年9⽉時点の認定量・導⼊量情報に基づいた現状の延長的な試算値となっている。

表2.2030年の風力発電導入推計

 陸上洋上合計
導入容量15GW5GW20GW
発電電力量約320億kWh約139億kWh約459億kWh
設備利用率16.3〜24.8%30% 
単価の見通し2025年度認定:12円/kWh後述 

出所:電力中央研究所資料を元に筆者作成

導入ペースの根拠としては、陸上⾵⼒では2020年1⽉時点の環境アセス「⽅法書」送付済み、かつ⼤⾂勧告公開案件のうち約8割に相当する約440万kWが稼働すると想定し、⼊札案件については、2026年度以降は毎年75万kWが稼働すると想定している。

洋上⾵⼒については、再エネ海域利⽤法で2020年1⽉時点の協議会が提出した推計容量に、有望な区域を加えた計約200万kWが稼働すると想定し、⼊札案件については2026年度以降の5年間で計300万kWの稼働を想定している。

なお洋上風力のコスト見通しに関しては、電中研資料では「2021年度以降は33円/kWhから毎年度3円ずつ低下と想定」と記しているものの、筆者の単純計算ではこの場合2030年に6円となるため、電中研意図の詳細は不明である。

日本風力発電協会ヒアリング

日本風力発電協会(JWPA)による2030年風力発電導入量見通しは表3のとおりである。

ただし、他の2団体と異なりJWPAの推計値は陸上風力では運転開始ベース、つまり実際に発電電力量が得られるものであるが、洋上風力発電では「認定取得」ベースとなっていることに留意願いたい。口頭説明の中では、リードタイムの短縮次第で5~10GWが運転開始に至るとの趣旨の発言もあったが不透明であるため、表3では筆者による「陸上+洋上」の合計値の算出は割愛した。

表3.2030年の風力発電導入量

 陸上洋上
導入容量必達ケース:18GW
促進ケース:26GW
10GW
発電電力量必達ケース:394億kWh
促進ケース:569憶kWh
307億kWh
設備利用率25%35%
単価の見通しLCOE:8~9円/kWhLCOE:8~9円/kWh

出所:JWPA資料を元に筆者作成

JWPAによる2030年導入見込み容量の根拠としては、既設案件が約4.8GW、開発中の案件は約13.0GW存在し運転開始の蓋然性が高いことから、合計17.8GW(約18GW)を必達ケースとしている。

開発中の案件13GWとは、環境アセス法に基づくアセスメント手続きを実施中の案件(※)の計191件であり、配慮書・方法書・準備書・評価書段階すべての運転開始を見込んだ数値となっている。(※環境アセス手続きが2年以上停滞している案件は除外)

しかしながら、開発中の案件13GWのうち8.9GWはFIT事業計画認定前の段階である。

仮に足元の認定ペース・年間約1.2GWが続くならば、これらの案件すべてが認定を得るには7年以上掛かることとなる。

このためJWPAでは、FIT入札募集量を現状の年間1GWから年間1.5~2GWへ拡大することを要望している。

また同時に、JWPAからは導入リードタイムの短縮策が幾つか提案されている。

現状、運転開始まで平均的には、環境アセスに4年程度、許認可手続きに1年程度、実際の施工に3年程度、合計8年程度を要している。

今後、環境アセスメントの第一種事業規模要件を現行の1万kWから5万kWへ見直しすることにより、約2.7GWが導入前倒し可能と予想されるほか、環境アセス対象案件においてもアセスの合理化により現状4~5年程度の所要期間を半減することが可能と説明された。さらに、所有者不明土地使用手続きを迅速化するなどして、平均的なリードタイムが現状の約8年から5年まで短縮されることを想定している。

つまり、JWPAの「必達ケース」とは現状の延長線ではなく、FIT認定ペースを年間約2GWまで上げることや、環境アセス期間等の短縮を実現することがセットで前提条件となった、ある程度挑戦的な数値であると考えられる。

陸上において促進ケース26GWを達成するには、導入ペースの加速化や発電所の大規模化のほか、好適地への立地の促進を提案している。

JWPAでは規制緩和等により、以下の区域において風力発電の立地を促進するならば導入ポテンシャルは大きく拡大すると推計している。当然ながら保安林や自然公園は本来の公益的目的を持つものであることから、規制緩和の是非については慎重な検討が求められる。

表4.JWPA推計による導入ポテンシャル量

保安林区域内136 GW
自然公園内24 GW
緑の回廊17 GW
耕作放棄地・荒廃農地5 GW
合計182 GW

出所:JWPA資料を元に筆者作成

なお、表3の陸上風力発電コスト(LCOE)8~9円/kWhは、促進ケースの26GWが導入されることが前提となっている。

風力発電のコストダウンには、風車単機ならびに発電所全体の大型化が不可欠である。

国内では従来、風車単機は2MWが主流であったが、現在の新規案件では3~4MWが主流となりつつあり、将来的には5~6MWの風車の導入が想定される。

山間部への大型風車ブレードの搬入の現実性について委員から疑問が示されたが、ブレード起立装置付自走台車の性能向上により、6MW風車の搬入が可能である旨がJWPAから回答された。

洋上風力については官民協議会による「洋上風力産業ビジョン」において、2030年までに10GW、2040年までに30~45GWの案件を形成することがコミットされている。

洋上風力では、環境アセス手続きを実施中の案件は41件、約18GW存在するものの、現状では運転開始までのリードタイムは8年程度が想定されている。今後、洋上風力産業ビジョンに基づく「日本版セントラル方式」(国による風況調査や系統確保等)を導入することにより、3~4年に短縮することが期待されている。

またJWPAは系統制約を解消する手段の1つとして、海底直流送電線(HVDC)の早期導入を提案している。

環境アセス手続き中案件のうち、北海道エリアでは合計1.7GWの洋上案件が存在する。

これを系統規模の小さな北海道に陸揚げすることは技術的・費用的に困難であることから、北海道洋上から大需要地である東京エリアに直接送電するために、海底直流送電線を用いるアイデアである。

このためJWPAではまずは2GWの海底直流送電線を、2030年までに供用開始することを要望している。この海底直流送電線無しでは、1.7GWの北海道エリア洋上風力の実現は困難であると考えられる。

洋上風力についてはその技術的難易度の高さや、産業政策としてのポテンシャルの大きさから官民共同によるビジョンとコミットメントが策定されたが、2050年カーボンニュートラル実現に向けた陸上風力の重要性を踏まえるならば、陸上においても同様の手法を採ることが望ましいと考えられる。

梅田あおば
梅田あおば

ライター、ジャーナリスト。専門は、電力・ガス、エネルギー・環境政策、制度など。 https://twitter.com/Aoba_Umeda

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