持続可能な地域社会、地産地消に向けて、若者が活躍できるような社会システムを 電力シェアリング 酒井直樹社長インタビュー【3】 | EnergyShift

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持続可能な地域社会、地産地消に向けて、若者が活躍できるような社会システムを 電力シェアリング 酒井直樹社長インタビュー【3】

持続可能な地域社会、地産地消に向けて、若者が活躍できるような社会システムを 電力シェアリング 酒井直樹社長インタビュー【3】

2021/03/31

酒井氏は最近、clubhouseで若い世代と話す機会が多いという。田舎に移住するだけではなく、ワーケーションという形で入り込み、新しい地域社会の創造を行っているという。こうした新しい動きに対して、行政がまず行うことは、「若者のじゃまをしないこと」だと強く語る。時代の大きな転換点では、若い世代が社会を変えていく主役ということだろう。

電力シェアリング 酒井直樹代表インタビュー(3)

短期集中連載:電力シェアリング 酒井直樹代表インタビュー
(全3回 毎日更新)

第1回 分散型にモデルチェンジする電気事業、ブロックチェーンはマーケットインの発想で 
第2回 エネルギー・気候変動にとどまらない、多様なSDGsへの取り組みを地域社会に
第3回 持続可能な地域社会、地産地消に向けて、若者が活躍できるような社会システムを

小規模分散型再エネの効率的な支援を考えるべき

―ところで、2020年12月から2021年1月にかけて、JEPX(日本卸電力取引所)のスポット価格が高騰しました。この件については、さまざまな見方ができると思うのですが、あらためておうかがいしたいのは、電気事業そのもののあり方が問われているのではないか、ということです。

酒井氏:確かにこの冬の高騰は、電力セクターにとって荒波だったと思います。また、あらためて電気事業にパラダイムシフトをもたらすものになるでしょう。もちろん、高騰そのものは想定外だったとは思います。

ところで、振り返ってみると、2011年3月11日に東日本大震災とそれによる福島第一原発事故が発生しました。私自身はその前から太陽光発電を普及させるNPO活動も行っていました。そして震災のあった翌年にはFITが施行され、太陽光発電が急拡大していきます。

その後、FITによる太陽光発電事業を拡大してきた事業者の一部が小売電気事業にも参入しました。そして、これからはFITに頼らない太陽光発電の普及が強く求められるようになっていきます。

これからの電気事業においては、非FITの電源開発が重要なものとなってきます。そこには2つの方向があります。

1つは、FIP制度を活用し、新しい土地で実施する太陽光発電や、あるいは洋上風力発電、大型バイオマス発電など、重厚長大型の事業です。

もう1つは、地方分散型の事業です。例えばコミュニティの太陽光発電をFIT制度で運用していくといったことです。

問題は、この別々のゲームを同じマーケットで競争させると、後者は圧倒的に不利になります。大型太陽光発電であれば、9円/kWh×15年で採算が合うかもしれませんが、地域分散型の太陽光では12円/kWhになってしまいます。これら2つの方向をどのように両立させていくのか。同時に、税金に頼らない事業にしていくにはどうすればいいのか。

こうしたことを考えながら、これからの電力システムを考えていく必要があります。


株式会社電力シェアリング 酒井直樹代表

地産地消に取り組む若者を政府はじゃましないで

―政策的な提言などはありますでしょうか。

酒井氏:先日、環境省で開催された国地方脱炭素実現会議ヒアリングに参加し、小泉進次郎環境大臣と話す機会がありました。そこで話したのはこういうことです。

これまで、大量生産・大量輸送・大量消費型のサプライチェーンを構築してきましたが、そこではロジスティックスが重要でした。しかし、そこでは無駄が多いという問題があります。価格競争の外側で、公害や社会の孤立化という問題を生みだしてきました。

これまでは、資本主義経済の中で、右肩上がりの成長をしてきましたが、人口が減少し、高齢化した地域については、行政の統治のあり方のフルモデルチェンジが必要です。

例えば、アパレルでは欠品を防ぐために製造するため、15%が無駄になっている。食品ロスや規格外の農産物の廃棄も同様です。

確かに効率性を求めると、農産物などは規格化します。しかし、時代は多品種少量になっており、(フード)マイレージを減らすために地産地消が推奨され、食品ロスをなくす動きになっています。電気も同様で、全国で規格化されるようなやり方ではなく、地域ごとでいいし、Z世代の若者がそこに取り組んでいます。

政策提言ということでは、まず、農業と電力の地産地消に取り組んでいる人たちを、じゃましないようにしていただきたい。電力も流通もそのことが重要です。

田舎で自給自足ができるようになり、移住のハードルが低くなっています。都会か田舎かを選ぶのではなく、ワーケーションという方法もあります。デジタル技術もそれを支えてくれます。Clubhouseに集まってくる人たちには、田舎の人でも土地の呪縛がない。地方と都市を状況に応じていつでも選べる、というのは現代のキーワードだと思います。


2021年2月22日に開催された第2回国地方脱炭素会議ヒアリング 下段左が小泉環境省、右が酒井氏

―酒井さん自身、地方にも拠点を持っているのでしょうか。

酒井氏:私自身も、都市と地方を使い分けていて、長野県塩尻市のイノベーション拠点「スナバ」も利用しています。

―エネルギーや野菜などについて、分散型で地産地消の社会を創っていくことが、持続可能な社会を創っていくという理解でよろしいでしょうか。

酒井氏:環境省は地域循環共生圏を打ち出し、循環型エコノミーを進めようとしています。

しかし、実際には、1,724の市町村があれば、1,724通りのソリューションがあります。1,724個の別々の課題があるということです。そして、その課題にチャレンジする若者がたくさんいる、ということが希望です。

(Interview & Text:本橋恵一)

第1回はこちら 第2回はこちら

酒井直樹
酒井直樹

東京大学経済学部卒業、米国シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。 1987年東京電力入社。人事部にて同社の人事戦略策定を担当。 2000年アジア開発銀行(本店:マニラ)移籍。以降、2017年まで、同行にてアジアの発展途上国向けのインフラファイナンスを手掛ける。 2017年同行退職、2人のチームメンバーとともに株式会社電力シェアリング起業。

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