水素カオスマップ
各社発表資料などから編集部作成(クリックすると別ウィンドウで開きます)
水素社会の実現に向け、海外から水素を大量生産・大量輸送するミッションを課されたのが、三菱商事や三井物産、丸紅といった総合商社はじめ、川崎重工などの重工大手、日揮や千代田化工建設などの総合プラントエンジ、そして岩谷産業などだ。
各社は、資源国にある褐炭(低品位の石炭)や未利用ガスなどを原料としてつくる「グレー水素」、製造過程ででたCO2を回収して、貯留したり、利用するCCUSを組み合わせた「ブルー水素」、さらに再生可能エネルギーの電力をもとに、水の電気分解によって製造する「グリーン水素」の製造および、大量輸送に向けた技術実証に取り組む。
「つくる」分野では、グリーン水素製造に欠かせない水電解装置市場が急成長する見込みだ。経済産業省では2050年には年間4.4兆円まで世界市場が拡大すると見込む。水電解装置で先行するのが旭化成や日立造船、東レ(電解膜のみ)などだ。
「はこぶ」分野で本命視されるのが液化水素運搬船だ。
経産省では、世界市場は2050年約5.5兆円、水素流通量は約5億5,000万トンまで拡大し、日本の水素輸入量は1,400万トンになると予想する。水素運搬船といえば、世界ではじめて液化水素運搬船を建造した川崎重工が世界をリードする。一方、水素は液体になる温度(沸点)がマイナス253度と低いため、輸送や貯蔵が難しい。そこで千代田化工建設などは水素とトルエンを化学反応させて、MCH(メチルシクロヘキサン)という液体に変換したうえで、日本への大量輸送に取り組む。
また、商船三井など海運大手3社や、大手電力会社、都市ガスなどは水素と窒素の化合物であるアンモニアや、CO2と水素から合成するメタネーションといった物質に変えて、大量輸入を目指している。
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