日経新聞の報道によると、日産自動車は、2022年にも取引先の自動車部品メーカーにCO2排出量を減らすよう要請する。排出量の削減目標比率は年内に設定する予定だが、「部品会社ごとに目標を立てる」として一律の削減は求めない方針を示す。
同社は2050年に原材料の採掘から車の製造、廃棄までのライフサイクル全体で温暖化ガスの排出を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする目標を掲げる。さらに、工場などでの製造時のCO2排出も2030年に2019年比で4割減、2050年にはゼロとしている。今回の要請に関しては新型車に削減目標を定めており、構成する部品の排出減も合わせて進める狙いだという。
経済産業省は今年6月に公開した「成長戦略実行計画案」で、自動車分野において「サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル化を目指し、エネルギーの脱炭素化と合わせて、包括的な支援策を実施し、電動化を推進する」などと記した。脱炭素化を目指し、サプライチェーン(供給網)の取引先にも脱炭素を求める動きはグローバルで加速しており、温暖化への対応が成長の成否を決する時代に突入している。
トヨタ自動車では今年6月に、直接取引する世界の主要部品メーカーに対し、2021年のCO2排出量を前年比3%減らすよう求めた。同社は組み入れる部品を生産する段階の排出量も算入するため、販売する車両の電動化に加え、サプライチェーン全体での脱炭素化を進めている。また、トヨタグループのデンソーは2035年までに全世界の約200の拠点でカーボンニュートラルを目指している。
ホンダも同月、主要部品会社に排出削減目標を今秋までに示すと伝えており、業界の脱炭素の流れが日本自動車大手に広がっている。
自動車産業を巡っては、自動車大手が脱炭素の動きを強めることで産業界の排出削減に弾みがつく。
一方で、脱炭素への取り組みはサプライヤーにとってはコスト負担が大きいことも課題となっている。目標数値の提示のみにとどまらず、現実的かつ段階的で計画的な移行を協力して進めていくことが必要だ。
EnergyShift関連記事
・EVシフトで自動車産業の淘汰がはじまった 倒産を避ける「事業再生ADR」とは!?(上)【帝国データバンク寄稿】
・EVシフトで自動車産業の淘汰がはじまった 倒産を避ける「事業再生ADR」とは!?(下)【帝国データバンク寄稿】
ニュースの最新記事