大型倒産が目立つ太陽光関連業界の今後の動きは!? 第1回 太陽光発電業者の倒産連鎖【帝国データバンク寄稿】 | EnergyShift

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大型倒産が目立つ太陽光関連業界の今後の動きは!? 第1回 太陽光発電業者の倒産連鎖【帝国データバンク寄稿】

大型倒産が目立つ太陽光関連業界の今後の動きは!? 第1回 太陽光発電業者の倒産連鎖【帝国データバンク寄稿】

2021/08/05

言いにくいことだが、一般の企業や銀行からみて「太陽光関連業者」というのは倒産による焦げつきが発生しやすい、やや危険な業種と見做されている。2050年カーボンニュートラルの実現に向けた再生可能エネルギーの大本命に位置付けられながらもなお、融資や信用取引にあたって「与信を与えても大丈夫か・・・?」と周囲に一抹の不安を与えているのが太陽光関連業者だ。
過去の倒産実績がそうさせているわけだが、今年に入ってからもJCサービス社とグリーンインフラレンディング社の倒産、更にテクノシステム社の事実上の営業活動停止など大型倒産が相次ぎ、周囲の心証を悪化させている。業界の今後の展望はどうだろうか。

2014年以降、高水準の倒産が続く

太陽光関連業者の倒産が急増したのは、2014年以降のことだ(表①参照)。倒産件数は5年連続で増加し、2018年にはピークの95社に達した。

その後も2019年が74社、2020年が84社、2021年1~6月は38社と70~80社のペースで高止まりが続いている。特に、今年の上半期は大型倒産の発生により負債額が急増、503億7,300万円(前年同月比441.6%増)とこれまでにない水準に達している。

2012年7月に施行された「再生可能エネルギー固定価格買取制度」(FIT)を機に太陽光関連には新規参入が相次いだ。当時、ほとんどバブルの様相を呈したが、比較的早期にブームは沈静化した。買取価格が毎年連続して引き下げられたことなどが背景にはあるが、太陽光関連の成長性や信用力について厳しい評価がなされるようにもなった最大の要因は、いくつかの著名企業の経営破たんだ。

例えば、大阪の太陽光発電システム販売大手として知られていたエステート24ホールディングス。代表秋田新太郎氏はイケメン青年実業家としてメディアにも多く登場していた。しかし支払いの遅延と取引先とのトラブルを繰り返し、一時会社を乗っ取られるなど経営が大混乱するなか2013年10月末に突如として“夜逃げ”した。秋田氏はその後、融資詐欺で逮捕されたが法的には未だに倒産していない。これが業界のイメージを決定的に悪くした。 

2014年には、ロハスホールディングスの中核企業、Global Energy Japan社(旧商号:ロハスソーラージャパン)のやはり青年社長が複数人で女性を車に連れ込み、乱暴した婦女暴行・監禁罪の前科を持っていることが明らかになり、債権者に破産を申し立てられた。

2015年にはエステート24ホールディングスの共同創業者が代表を務めていたリベルテ社が自転車操業に陥り、破産。

2016年には日本ロジテック協同組合が放漫経営、社外への資金流出の末に破産し、同年末には中国の正信ソーラーグループのZEN POWER社が親会社の信用補完がまったく機能しないまま、いきなり破産を申請した。

2017年には電現ソリューション社がメガソーラーの開発・施工でトラブル多発、新規事業のバイオマスも軌道に乗らずに破産。

2018年には高配当を約束して高齢者を中心に会員を募集、自転車操業で倒産し社会問題となったケフィアグループ傘下のかぶちゃんメガソーラー社が破産。

2019年には架空・循環取引に手を染めていたPPS(特定規模電気事業者)のエナリスが上場廃止となり、大手企業のTOB(株式公開買い付け)で辛うじて延命した。

2020年秋には債務不履行状態で営業を継続していたヤマダエコソリューション社が、ヤミ金の第三者破産申し立てによってとどめを刺された。

太陽光関連企業の乱脈ぶりは、まったくもって枚挙にいとまがないほどだ。

大型倒産が集中発生

そして、今年は負債額の大きな大型倒産が増えている。

今年3月、民事再生法を申請したJCサービスとその関係会社で4月に破産したグリーンインフラレンディングは、もともと代表の前歴に倒産歴があり、2014年頃から支払遅延が出始めた。大手ソーシャルレンディング事業者のmaneoマーケットと組んでプロジェクト資金を調達していたが、投資家から集めた資金は政治家など外部に流出していたとも言われ、真相は闇の中だ。最後にグリーンインフラに破産を申し立てたのはmaneoマーケットだが、同社に対しても関東財務局より行政処分が下されている。

まだ正式な法的整理には至っていないが、渦中のテクノシステムも何年も前からその名を知られていた“有名企業”だ。2016年頃から外注業者などへの支払遅延が頻発、資金繰りをつなげるため融通手形に手を染めた疑惑まであり、既にこの時点で対外信用は失墜していた。会社側は終始一貫してそうした事実を完全否定、その効果か信用不安はいったん沈静化し、一時は破たんした他社のスポンサーに名乗りを挙げるまでに余裕を取り戻していた。

しかし与信の世界でいったん失われた信用を回復することは極めて難しい。昨年から再び支払遅延が起きるようになり、5月末には融資金詐欺の疑いで東京地検特捜部より家宅捜索を受け、現在は営業状況も定かでない状態が続いている。

循環取引の疑惑が取り沙汰されてその相手先探しが行われ、政治家ともつながる悪徳コンサルタントや金融ブローカーが暗躍、密接な協業関係にあったSBIソーシャルレンディングは廃業に追い込まれた。会社側ではそれでもなお事業の継続を模索している状況だ。

まだある。帝国データバンクの区分では太陽光関連に含めていないが、新電力のF-Powerが2021年3月に会社更生法を申請(負債464億円)、電力需給管理基幹システム「パネイルクラウド」の開発、運用を手がけていたパネイル(負債61億円)が5月に民事再生法を申請した。

太陽光関連に限らず、この半年の間に再生可能エネルギー分野で集中的に大型倒産が発生している。2050年カーボンニュートラルを実現するために再生可能エネルギーを最大限導入するのが政府の方針とされ、太陽光や新電力など関連業界にはかつてない追い風が吹いているように見える。しかし実態は必ずしもそうではない。(その他、主な太陽光関連業者の倒産態様と負債額については表②を参照ください)

圧倒的多数を占める中小・零細業者

太陽光関連業者の倒産は2006年以降、累計579社に達している。そのうち全体の93.4%を破産が占めており、民事再生など再生型の案件は非常に少ない。負債額が5億円に満たない中小企業が84.8%を占め、業歴では5年以上10年未満、つまり2012年のFIT法施行後に事業を始めた新興勢が27.3%ともっとも多く、次いで30年以上の老舗が19.9%を占めている。

これは本業で設備工事業や建設工事業を手がけつつ、従業として太陽光関連の事業を行っている企業が多いためだ。資本金は100万円から5,000万円までの中小企業が全体の87.7%を占め、従業員数では50人未満が97.0%に達している。

 つまり、太陽光関連業者というのは実態としては圧倒的に中小・零細企業が多い。そうした中で、これまで述べてきたような不祥事、事件性を伴う大型倒産が発生し、全体の足を引っ張っているわけだ。つくづく思うことだが、支払能力の欠如は広義の倒産状態だ。

たとえ会社側に返済意思、営業続行の意思があるのだとしても、実行されないのなら意味はない。倒産状態にあるか否かは自分で決めることではなく、周りが決めるものである。完全に信用を失った状態での事業継続に、どれほどの意味があるのだろうか。

しかし皆が皆、コンプラ違反の放漫経営で夜逃げしているわけではない。次回は圧倒的大多数を占める“まともな”太陽光関連業者をリポートする。

第2回はこちら

①倒産件数と負債総額の推移

件数前年比(%)負債総額(百万円)前年比(%)
20062-21-
20074100.01,7628290.5
2008650.016,475835.0
20091183.32,776▲83.2
20105▲54.5345▲87.6
201112140.03,788998.0
20121958.34,89629.3
201316▲15.84,723▲3.5
20142025.04,327▲8.4
20153890.09,307115.1
20166776.333,328258.1
20178831.330,246▲9.2
2018958.024,013▲20.6
201974▲22.121,234▲11.6
20208413.523,95712.8
2021(1-6月)38▲9.550,373441.5
579-231,571-

2021(1-6月)は前年同期比

②主な太陽光関連業者の倒産態様と負債額

商号都道府県資本金(千円)負債(百万円)従業員(人)倒産年月日倒産態様
日本ロジテック協同組合東京都99900162825020160415破産
株式会社JCサービス東京都273,15015,342020210324民事再生法
株式会社グリーンインフラレンディング東京都12000012,800020210409破産
株式会社ANGELO兵庫県487,00012,537020210119破産
シーズクリエイト株式会社東京都17726021144211120080926民事再生法
株式会社ZEN POWER福岡県300005200020170405破産
株式会社エバテック京都府58077548009020081125民事再生法
株式会社ヤマダエコソリューション東京都20,0003,771620200911破産
株式会社下田カントリークラブ静岡県4500037001220160915破産
株式会社パシフイック・コースト・インダストリー神奈川県20,0003,1703720190508破産
株式会社九設大分県200003,0656820210511破産
株式会社TY商事愛媛県100002900020170517特別清算
かぶちゃんメガソーラー株式会社長野県510002852220180903破産
株式会社TS商事愛媛県100002600020170517特別清算
PVG Solutions株式会社神奈川県10000022003520170215破産
株式会社熊本清掃社熊本県3,0002,044020191213破産
株式会社エナジーネクスト神奈川県100002000020190215破産
近畿セラミックス株式会社兵庫県99,2002,0004420190830破産
日生開発株式会社東京都10,0002,000220200715破産
株式会社ジャパンエネルギーグループ岡山県6000018086020151228破産
株式会社サンエイワーク東京都10,0001,7923820200217特別清算
株式会社秀和エンジニアリング埼玉県7000017805620110510破産
株式会社リベルテ東京都5900017306620150305破産
株式会社シ-・オ-・エ-奈良県100001669120070907破産
河村電気株式会社静岡県200001630520130509破産
ECI株式会社岡山県40,0001,600020210216特別清算
電現ソリューション株式会社東京都200001550020171010破産
Quantum Japan株式会社東京都1000014541120181031破産
Global Energy Japan株式会社福岡県500001351020140514破産
太宰俊郎
太宰俊郎

証券・金融系専門紙記者を経て、2006年に信用調査会社の株式会社帝国データバンクに入社。情報部記者として、主に倒産企業の取材、TDB企業データに基づくレポート等の作成を行っている。