今回の実行計画書の対象となるであろう、国内の半導体企業の筆頭としては、東芝や三菱電機、ルネサスエレクトロニクス、キオクシアなどが挙げられる。上記の面々からは、パワー半導体に対する大型投資の報道が相次いでおり、機運の高まりを感じさせていた。
2020年12月には、東芝がモーター制御などに使うパワー半導体の増産に約1,000億円を投じることが、2021年11月9日には三菱電機が同じくパワー半導体に5年で1,300億円を投資して、生産ラインを2020年度比2倍にすることが報じられた。
特に、東芝は11月12日に公開した2021年度第2四半期決算の中でも、半導体事業を中心に、売上高で前年比1,750億円の増収を上げたことをアピールし、投資計画の効果を感じさせた。また、三菱電機も、同社のパワーデバイス事業での売上高を2025年度までに2,400億円以上、営業利益率を10%以上とする成長目標を立てている。
ルネサスエレクトロニクスも9月29日の経営説明会で、2023年までに自動車などに向けた半導体「マイコン」の生産能力を2021年比で50%増やす計画を明らかにした。2021年の全体の設備投資額は800億円超、2022年も600億円程度としており、直近に公表された200億円程の投資額からさらに引き上げ、EVなど拡大する需要に対応する。
そして、金額面で出色なのが、2021年5月に判明した、キオクシアの2兆円規模の大型投資だ。岩手県の北上工場に、NAND型フラッシュメモリー(半導体メモリー)の新製造棟を建設し、2023年に稼働するといわれている。キオクシアは2020年10月にも三重県四日市工場に1兆円を投資して、新工場棟を建設。最先端フラッシュメモリーの量産体制に力を注いでいた。
かつて世界で50%以上のシェアを占めたものの、現在は影が薄くなったといわれる日本の半導体産業だが、次世代の復権に向け、官民の機運が高まりを見せ始めている。
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