電力危機に直面する中国の存在もLNGなどの燃料ひっ迫を招く一因となっている。
中国では9月中旬以降、電力供給が制限され、工場の操業停止が相次いだ。背景にあるのが、発電量の6割を担う石炭がひっ迫する中、コロナ後の経済回復などで7月の電力需要が急増したことがまずある。しかし、その一方で中国政府は、老朽炭鉱の淘汰やオーストラリア産石炭の輸入停止などを実施。石炭価格などが高騰する中、価格統制を受ける電力会社は高止まりする価格を転嫁できず経営が悪化していった。
こうした市場の歪みを抱える中、中央政府は、地方政府に対しCO2排出量を年平均3.6%削減するよう改めて通達する。この通達を機に各地で電力供給制限や工場への操業停止指示が加速した。
JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)は、「無秩序な電力供給制限と工場の操業停止が全国に波及した」と述べている。さらに中国の電力危機について、「CO2排出抑制や省エネ目標の遂行を求める中央政府と地方政府の対応に齟齬が起きたことで生じた」と分析するが、エネルギー危機を受け、中国もLNGの争奪戦を繰り広げている。
2022年1〜2月の電力需給、過去10年でもっとも厳しい予想・・・次ページへ
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