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東北・北海道の系統アクセスの改善に向けて 第29回系統ワーキンググループ

東北・北海道の系統アクセスの改善に向けて 第29回系統ワーキンググループ

2021/03/22

再エネ資源に恵まれた北海道や東北エリアでは非常に多くの再エネ電源が系統接続を進めようとしているが、同時に様々な課題が生じている。その1つが既存系統の容量超過である。系統拡大するための一般送配電事業者による工事キャパシティを超過する事態も発生しているため、その対処策が、2021年2月25日に開催された、経済産業省の第29回系統ワーキンググループで報告された。

審議会ウィークリートピック

東北北部エリア電源接続案件募集プロセス

東北北部エリアにおける電源接続案件募集プロセスがようやく完了見込みであることが、東北電力ネットワークから報告された。この募プロは2016年10月に開始されたものであるため、実に4年半もの年月が経過している。

このように長期間を要した理由は、当初接続を申請していた発電事業者の中から複数の辞退者が発生したこと、これに伴う入札対象工事の見直しや事業者の繰り上げ選定の実施、再接続検討をおこなった結果、再び辞退者が発生し・・・というループが4度も繰り返されたことが最大の原因である。

ようやく、さらなる追加の繰り上げが発生しないことが確認され、最終的な優先系統連系希望者は76件、容量は390万kWとなったことが報告された。

表1.東北北部エリア募プロの優先系統連系希望者

電源種別件数(件)容量(万kW)
太陽光22
陸上風力33122
洋上風力16260
その他再エネ(バイオマス等)256
合計76390

出所:系統ワーキンググループ

募集プロセスが長期化した影響は優先系統連系希望者だけでなく、当該東北北部エリアへ接続検討申込をおこなっていた発電事業者にも影響を与えている。

募集プロセスが完了しない限り、系統状況が確定しないため、東北電力ネットワークは詳細な接続検討をおこなうことが出来ない。結果として、これらはすべて検討保留状態となっており、その件数は合計で145件、約950万kWに達している。

これら検討保留案件145件に対してようやく技術検討の開始が可能となったが、受付からかなりの長期間が経過しており事業環境の変化も生じている。

その1つが、2021年1月から開始されたノンファーム型接続の適用である。東北電力ネットワークは申込者の事業継続意思を確認したうえで、技術検討を開始する予定である。

自営線方式のアクセス線

発電所と電力系統を結ぶ電源線(アクセス線)の敷設は従来、一般送配電事業者(一送)が工事をおこなってきた。この工事に発生する初期費用は発電事業者の負担となるが、その完成後にはアクセス線自体は一送の資産となるため、運用開始後の維持費用は一送の負担となる。

ところが東北エリアでは、特別高圧の契約申込み受付件数が他エリアと比較しても突出して多く、工事ボリュームが増加している。

図1.特別高圧の契約申込み受付件数

特別高圧の契約申込み受付件数
出所:系統WG

さらに東北エリアでは、上述した東北北部募集プロセスの他に「東北東京間連系線」や「新々北本連系線」など複数の大規模な基幹系統工事が計画されている。

基幹系統の工事日程は厳守することを前提とすると、増加する工事ボリュームに対して人的リソースが不足することにより、アクセス線工期が長期化することが懸念される。

この解決策として東北電力ネットワークは、アクセス線(特別高圧)を発電事業者が自ら施工する「自営線方式」を原則とすることを提案している。自営線方式の場合、アクセス線の所有は発電事業者となる。

以下のメリット/デメリットが常に当てはまるわけではないものの、自営線方式の第一のメリットは工期の短縮である。これに伴う費用の圧縮や計画の自由度が増すことも期待される。デメリットとしては、用地確保・許認可取得のリスクがあることや、運用開始後の継続的な維持管理費が発生することなどが挙げられる。

自営線方式を原則とすることに関して、資源エネルギー庁が発電事業者へヒアリングをおこなったところ、一送による工事方式との「選択制」を要望する声が多数であった。

よって今後は発電事業者と一送が協議のうえで両方式から選択することが、系統ワーキンググループの結論とされた。

なお東北電力ネットワーク以外の他の一送においても、アクセス線を自営線方式とする実績はすでにあり、例えば九州電力送配電では、電圧60kV以上は自営線方式を原則とすることが規定されている。

再エネ電源新設の増加に伴い、全国的にアクセス線工事の件数は増加することが予想されるが、工事に対応可能な人的リソースが急に増加するとは考えにくい。

自営線方式が例外であった時期は、自営線にすることによる工期短縮等が充分に期待可能であったが、これが「原則」となった際にキャパシティ超過(工期長期化・費用増加)という同じ問題に直面することが懸念される。一送工事方式と自営線方式のどちらがメリットがあるかを比較検討する期間も新たに生じると予想されるため、新たな選択肢が生じたことにより発電事業者は難しい判断が求められることとなる。

系統アクセス業務の状況

発電事業者が一送の系統に接続を申し込んだ際、一送は一定の期間内に接続検討の回答をおこなうことが送配電等業務指針により定められている。

この回答期間は高圧系統では2ヶ月以内、特別高圧等では3ヶ月以内であるが、2019年度の接続検討回答件数1,338件のうち、3ヶ月を超過したものが524件、39%に上っている。

この回答期限の超過理由を示したのが図2であり、申込集中や、特殊検討による検討日数の長期化といった理由が多数となっている。

なお前年度の2018年度と比べると、接続検討受付件数そのものが減少していることもあり、期限超過件数も減少傾向にある。

これら超過件数や超過理由は全国の一送を集約した数値であるため、今後は透明性向上のため、一送各社の実績を公表することとした。

図2.接続検討の回答予定日超過理由

接続検討の回答予定日超過理由

出所:電力広域的運営推進機関

2023年度から新たにレベニューキャップ制度が開始されるが、レベニューキャップ制度のもとで一送は期初に事業計画や成果目標を策定したうえで、その目標の達成状況に応じたインセンティブ/ペナルティが与えられることとなる。

すでに料金制度専門会合では、目標分野「再エネ導入拡大」の中では「接続検討・契約申込回答期限超過件数をゼロにすること」を、一送の目標の1つとする案が示されている。

ただし、レベニューキャップ制度に移行するということは、接続検討の回答期限の遵守を義務化・強化することを意味するわけではなく、むしろ一送の自由度を上げる施策でもあるため、一送は新たに目標とすべき回答期限や超過件数の大小を、その達成に要する費用と比較の上で各社が独自に「目標」を設定することになると考えられる。

一送の工事費等に対する第三者検証

現在も一送は発電所の接続検討に対して、工事費内訳やその算定根拠、所要工期等について書面にて回答するとともに、発電事業者の要望に応じて必要な説明をおこなっているが、必ずしも発電事業者の満足が得られる回答とはなっていないケースもある。

このような場合、発電事業者からの申し立てを受けた電力広域的運営推進機関は、中立的第三者として工事費等の妥当性の確認をおこなう業務を実施している。

表2.広域機関による妥当性確認件数


出所:系統ワーキンググループ

広域機関は発電事業者等による苦情・相談も受け付けており、その紛争解決を支援しているが、あっせんや調停手続きにまで至った案件はわずかであった。

レベニューキャップ制度への移行後は、一送は「サービスレベルの向上」も事業計画「目標」の1つとして設定する必要があるため、国による定期的な評価を受けることとなる。

北海道エリア 蓄電池募集プロセス

北海道エリアは系統規模が350万kW程度(2019年度平均)と小さいながらも、風力・太陽光発電の申込状況は(2020年11月末現在)、接続済が249万kW、受付済未連系が191万kW、合計440万kWとなっており、系統周波数が調整目標(50±0.3Hz)の限界に達する事例が発生している。

変動電源による周波数変動を緩和する対策の1つが系統側蓄電池の設置であり、一定の条件を設定した募集プロセスが2017年3月に開始された。

第Ⅰ期の募集容量は60万kWであり当初の接続検討申込容量は250万kWに上ったが、募集プロセスで定められた運転開始期限に間に合わない等の理由により、多くの事業者がプロセスから離脱し、最終的な優先系統連系希望者は15件、連系容量は16.2万kWとなった。

図3.蓄電池募集プロセス第Ⅰ期 申込の減少

蓄電池募集プロセス第Ⅰ期 申込の減少

出所:系統ワーキンググループ

他方、北海道ではすでに2区域(北海道岩宇および南後志地区沖・北海道檜山沖)が洋上風力の準備区域に指定されており、系統の確保が課題となっている。

このため第Ⅰ期残容量43.8万KWや、第Ⅰ期導入検証後に募集が予定されている第Ⅱ期40万kWをどのように扱うべきか、系統ワーキンググループにおいて検討がなされた。

同じ海域において複数の事業者が重複する等、非効率な蓄電池枠の確保がおこなわれる可能性があるため、第Ⅰ期では原則、洋上風力を対象としないこととされた。ただし第Ⅱ期分については洋上風力に割り当てることとした。

表3.蓄電池募集プロセスの今後の容量割り当て

接続枠割り当て対象
第Ⅰ期残容量
43.8万KW
当初割り当て洋上風力以外の電源
さらなる残容量洋上風力の準備区域
第Ⅱ期40万kW洋上風力の準備区域

出所:筆者作成

なお蓄電池募集プロセスにおける系統側蓄電池の費用は、送配電事業者と発電事業者の間で按分される。

蓄電池設置による系統全体の周波数調整への寄与分を一般負担(北海道内の託送料金)とするが、第Ⅰ期開始時点ではその比率は5%と算出されていた。残りの95%は特定負担(発電事業者負担)となる。

今回の第Ⅰ期残容量については直近(2020年)の北海道の調整力公募の平均落札額が上昇したことを踏まえ(33,325円/kW)、再算出した結果、一般負担比率は10%、特定負担比率は90%に低下した。

託送料金の発電側課金制度が未導入の現在、発電事業者が負担する金額は工事初期費用だけであり維持費用の負担からは免れている。他方、調整力公募およびその後継となる需給調整市場による調整力調達は毎年費用が発生するものであり、調整力の需給バランス次第では今後も調整力単価は変動する可能性が高い。

蓄電池募集プロセスへの応募時期が異なることにより、発電事業者の費用負担比率が変動することは公平性の観点から課題があると考えられる。ノンファーム型接続の拡大や発電側課金の併用など、発電事業のライフサイクル全体を通じた費用負担の適正化が進むことを期待したい。

梅田あおば
梅田あおば

ライター、ジャーナリスト。専門は、電力・ガス、エネルギー・環境政策、制度など。 https://twitter.com/Aoba_Umeda

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