ボリス・ジョンソン英首相
日本政府が太陽光ではなく洋上風力を切り札としたのは、一つには国土の制約の有無があるが、もう一つ大事な論点として、日本の物作りをより活かせるのが洋上風力の方であるという点が大きい。
洋上風力は風車のみならず、発電をするにあたって部品数が数万点と部品の点数が高いのが特徴だ。つまり、裾野の広い産業であり、関連産業への経済波及効果は大きい。この点、シリコンと半導体がメインとなっており、中国がサプライチェーンの大半に影響力を保持してしまっている太陽光パネルと異なり、これらの部品の製造に日本勢が割って入れるチャンスは多くある。
くしくも、イギリスも欧州各国の投資と参入を受け入れながら自国の市場を成長させ、そしてそれを産業の復興につなげてきた。日本も勝ち筋を模索するのであれば、洋上風力を日本に本格導入するにあたって、初期は外資が入り、幅を利かせるのは致し方ないとして、まず、その中でサプライチェーンの中に日本企業が入り込み、利益を上げながら成長をする。その次にそうしたサプライヤーが日本のメーカーを支える構図を取り、日本の中にも競争性をもつ風車メーカーを再度生み出す。そしてその中で発電事業者も成長をし、イギリス同様、他国の市場をそうした日本勢のタッグで取りに行くというストーリーだろう。
もちろん、最初から日本勢がある程度幅を利かせることができることに越したことはないが、臥薪嘗胆の精神をしっかりもち、最終的には先ほどのストーリーのような逆転劇を演出する、その思いを日本勢がしっかりもつことが大事ではないか。ここからの巻き返し、捲土重来を期待したい。
今回はこの一言でまとめよう。
『イギリスが石炭火力について圧力をかける背景に洋上風力あり』
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