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「住宅などへの太陽光搭載、誰が責任を負っているのか」 河野行革相が国交省などを批判

「住宅などへの太陽光搭載、誰が責任を負っているのか」 河野行革相が国交省などを批判

河野太郎行政改革担当大臣は、6月28日に開いた再エネ等の規制点検タスクフォースで、重要施策のひとつである太陽光発電の搭載について、「国交省、経産省、環境省どの省も推進していないのではないか。できない理由はいらない。どうすれば脱炭素社会を実現できるか示してほしい」と指摘した。また河野大臣は、3省に対し「誰が最終責任を負っているのか」明確化するよう求めた。

河野大臣「国交省の踏み込みは甘い」

住宅やビルなどの建物の脱炭素化に向け、国土交通省と経済産業省、環境省の3省は4月に「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」を立ち上げ、6月3日には素案を公表している。

しかし、この素案には、小泉進次郎環境大臣が推進する「新築住宅への太陽光設置義務化」は記載されておらず、義務化見送りは濃厚となっている。

一方、河野大臣が率いる「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」では、太陽光設置義務化などを強く求めており、タスクフォースの意見が反映されていないという批判が高まっていた。そのため、6月28日の第11回タスクフォースにおいて、改めて住宅や建築物の脱炭素化に向けた取り組みが議論された。

河野大臣は、「国交省はカーボンニュートラル2050に向けての踏み込みが不十分なのではないか。こうした声は国交省内部からも聞こえてくる。住宅の太陽光パネル設置など本質的な問題が、3省の縦割り行政のはざまに落ち込み、誰も推進していないのではないか」と批判した。

タスクフォースでは、東京大学大学院の前真之准教授が3省の取り組みに対して問題点を指摘した。

ひとつは「平均でZEH(年間のエネルギー収支がゼロ以下になる住宅)」問題だ。

あり方検討会の素案では、2030年における新築の住宅・建築物について平均でZEH・ZEB(年間のエネルギー収支がゼロ以下になるビル)の実現を目指すと記述されている。実は、この「平均でZEH」とは、「太陽光発電抜きの省エネ20%削減だけのZEH」であることが今回明らかとなった。

本来のZEHは、ゼロ・エネルギーの実現に向け、断熱、省エネ、そして太陽光発電の3点セットが不可欠である。ただし、都市狭小地や多雪地域などはその設置環境から、太陽光発電を載せなくてもいいZEHは認められている。しかし、それはあくまで狭小地や雪国限定だ。

前准教授は、そもそも「『省エネ20%だけZEH』はエコキュートやLED照明を設置すれば、簡単に達成できる。このままでは太陽光発電抜きZEHが無制限に普及することになり、かつての2030年度26%削減目標さえ達成できない」と指摘した。

そのうえで、「なぜ、このような定義変更、ワードチェンジがおこなわれたのか? 太陽光発電抜きZEHの普及になんの意味があるのか」と質した。

太陽光発電ありZEHは、補助金だけでは普及しない

「太陽光発電ありZEH」を急拡大させれば、2030年度の新たな削減目標46%達成にはまだ間に合うという。

ただし、実現には2030年に年間30万戸の「太陽光発電ありZEH」を新築しなければならない。年間30万戸達成に向けて、補助金だけに頼れば財源が枯渇する。前准教授は、補助金による誘導策だけでは非現実的だとし、太陽光発電ありZEHを義務化したうえで、住宅ローンの拡充や税制改革を求めた。

たとえば、家の断熱性能をあげると、改修コストに70万円程度かかるが、冬は暖かく、夏は涼しくなるため、毎月5,000円光熱費を削減できるという。また、太陽光発電を載せれば、5kWでおよそ100万円超の初期費用がかかるものの、毎月電気代を1万円削減できるという。

削減額は毎月1万5,000円と試算され、断熱と太陽光発電は10年程度で投資回収可能であるという。また、光熱費の削減分をローンの与信に追加すれば、「誰もが追加負担なしで、太陽光発電ありZEHを手にすることができる」とも述べる。さらに、初期費用を負担せず導入できるPPAモデルもある。十分に経済的だ。

3省は誰も、太陽光発電を推進していないのか?

もうひとつが、建築への太陽光発電搭載は誰が普及の責任を負っているのか? 省庁の谷間問題だ。

脱炭素実現に向けては、屋根置き太陽光発電が重要政策のひとつにあげられている。

あり方検討会委員でもある、諸富徹京都大学大学院教授は、「太陽光設置義務化は必要不可欠な政策であり、今回、義務化を見送ったとしても、2025年、遅くとも2030年には義務化と決めたうえで、環境を整備すべき」と提言している。

しかし、こうした太陽光義務化に向けた意見は、あり方検討会素案には取り上げられていない。

前准教授は、「太陽光発電の搭載は推進すべき重要政策にもかかわらず、3省の谷間にはまり、誰も推進していないのではないか。省庁間の役割分担を明確にすることが、普及の後押しに不可欠だ」と述べた。

また、「今の断熱基準は1999年に作られた時代遅れの水準だ。ヒートショックのない健康な暮らしができるよう、住宅の断熱性能をさらなる高断熱基準に見直すべきだ」とも提言した。

次回のタスクフォースで最終責任者を示せ

こうした提言に対し、国交省などは「検討会で議論する」、あるいは「エネルギー基本計画など国の長期戦略を踏まえたうえで議論する必要がある」という回答に終始し、具体的な回答は実質ゼロだった。

また、「建築物への太陽光発電搭載について、誰が普及の責任を負っているのか?」という質問に対しては、国交省が「どの省がやるのではなく、みんなでやる」、経産省は「住宅政策という観点からは、特に国交省の協力が不可欠だ。環境省含めてしっかり連携して進めていく」。環境省も「3省庁連携して検討していきたい」と述べた。

3省の回答を受け、河野大臣は、「みんなで責任を持ってやるというものほど、誰も責任を負わないものだ」と批判した。そのうえで、「次のタスクフォースまでに、太陽光発電の住宅設置の最終責任者を示してほしい」と要求した。

2030年46%削減、そして2050年脱炭素実現には、断熱基準や省エネのさらなる深掘り、そして太陽光発電の設置義務化が欠かせないとするタスクフォース。だが、3省との間にはまだ大きな隔たりがある。

(Text:藤村朋弘)

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EnergyShift編集部
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