岩谷産業は、福島県でLPガスに水素を20%ほど混ぜて家庭に供給する実験を開始すると12月14日に発表した。家庭用ガスコンロやガス警報器などの安全性を確認しながら、水素の混合技術やCO2削減効果の検証を行う。
燃料電池による発電ではなく、燃焼させて燃料として使用し、既存設備を使って水素とLPの混合ガスを一般家庭に供給するのは国内初という。
相馬ガスと共同で、LPガスなどを届けている約500戸の住宅を対象として実証試験を行う。水素は、2020年に稼働を開始した、水素製造装置を備えた「福島水素エネルギー研究フィールド」で太陽光発電の電力を使って生成するグリーン水素を用いる方針だ。
日経新聞の報道によると、年間で燃料電池自動車(FCV)250台の使用分にあたる1.4トンを実験で使う予定で、混合によってCO2の排出量は3%ほど抑えられる見通しだという。水素を加えた価格上昇分は、補助金を活用して消費者の負担にならないようにする。
LPガスは化石エネルギーの中でも、CO2の排出量が少ないクリーンエネルギーとして期待されているが、家庭用LPガスの主成分であるプロパンを水素とCO2で合成する技術は実現までのハードルが高いという。
岩谷産業は日本で唯一、LPガスの自社一貫供給体制を全国規模で構築。国内では4割ほどの世帯がLPガスを使っており、同社はLPガスの卸売りと小売事業で国内トップのシェアを持つ。
今回の事業はグリーンLPガスの合成技術開発や100%水素導管供給実現までの過渡期におけるCO2排出削減策の 1 つ。
脱炭素社会の実現に向け、CO2フリー水素の大量調達や利活用、LPガスのグリーン化、廃プラスチックやバイオガスからの水素・LPガス製造などの検討も進める。
EnergyShift関連記事
ニュースの最新記事