2021年は脱炭素社会へ大きく進展した年であった。2020年末のグリーン成長戦略の策定に続いて、2030年までの温室効果ガス46%減の目標策定、コーポレートガバナンスコードの改定による企業の中での気候関連財務情報開示の広まり、そしてエネルギー基本計画の改定による再エネ目標大幅増などである。
企業においても、トヨタのBEV戦略転換をはじめ、日本国内でも多くの脱炭素の進捗ニュースがあった。さて、2022年はどうなるか。2022年絶対に抑えるべき「脱炭素トレンド」は何か、編集長のゆーだいこと、前田雄大が解説する。
2021年は進捗があったと言っても、まだ種まきの段階。本格的な脱炭素への転換は2022年に見られていくと予想している。企業においては、今年からいよいよ本格化、といったところだ。
まず注目すべきは、東証による市場の再編で、多くの東証一部上場企業が4月からプライム市場に移行するということだ。
そこに紐づけて各社が脱炭素情報を公表してくるだろう。プライム市場には、より高水準の気候変動対応とリスク情報開示が求められており、ビジネスセクターでは脱炭素に向けた新たな取り組みや、そしてそれに基づく底上げがあるとみている。
国際社会では非上場の企業にも気候関連の財務情報開示の議論が出てきており、日本でも金融庁が気候関連財務情報開示の義務化の検討を進めている。
昨年11月には国際会計基準を担うIFRS財団によって、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が設立された。ISSBについては、2022年6月までに、既存の開示基準の設定機関であるVRF(Value Reporting Foundation)とCDSB(CDPが事務局を務める気候変動開示基準委員会)をISSBに統合することが公表をされており、このあたりでルールの策定の転換点が起きそうなので、2022年6月というのは開示の文脈では要注目だ。
また、世界ではEV戦線が今年は激化するであろう。すでに欧州市場、中国市場では新車の10%以上がEVになってきている。日本企業もここに続々と名乗りを上げ、勝負をしていく年、それが2022年になっていくとみられる。
国内では、2022年度初めに日産・三菱連合から発売されると言われている軽EVが、一つ大きな転換点になるのではないかと考えている。コストも補助金込みで200万円を下回るものになるとされていて、それでいて、電池の容量は20kWh程度。これを家の蓄電池代わりに使う、という手法がセカンドカーを中心に口コミで広がっていくと、地方での家の在り方、エネルギーの地産地消のような文脈にも変革をもたらせると考える。1月11日に、三菱自動車の「K-EV Xスタイル」が世界初公開となった。我が家の嫁も、軽自動車の買い替えを予定している。
企業の観点では、サプライチェーンの脱炭素化の進展、これが注目だ。昨年トヨタがサプライヤーに対して年率3%の温室効果ガス排出削減要求をした。これが業界では激震となっているとも聞く。サプライチェーンの頂点にいる大企業が、トヨタに右ならえをして、こうした要求をしてきたら、サプライチェーンの脱炭素のドミノが倒れていく。本件はその序章になるであろう。昨年はカーボンニュートラル発表合戦だったが、今年の焦点とされるのは、サプライチェーンの脱炭素合戦と筆者はにらんでいる。
もちろん、蓄電池競争も目が離せない。半導体の生産・確保、この辺りのニュースも引き続き見物となるであろう。現在、新型コロナウイルスの第6波が日本に来ているが、コロナ禍からの経済回復の連動、ここにも半導体は左右されてくるため、引き続き注目していければと思う。また化石燃料の価格動向も引き続き、2022年は要注目だ。
その上で、脱炭素の波は国際的なところから波及をしていくため、国際動向をみていこう。
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