太陽光発電のオペレーション 発電量監視、アラート監視と現場駆け付けのほんとうの話 | EnergyShift編集部

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太陽光発電のオペレーション 発電量監視、アラート監視と現場駆け付けのほんとうの話

太陽光発電のオペレーション 発電量監視、アラート監視と現場駆け付けのほんとうの話

EnergyShift編集部
2020/07/31
ブックマーク
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O&M ほんとうの話

火力発電などと異なり、太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電は、自然のエネルギーで発電するので、積極的な運転は必要ない。とはいえ、毎日順調に発電していくためには、日常の監視が欠かせない。太陽光発電のオペレーションについて、afterFITで品質管理 O&M 統括を担当する小林悦郎氏が解説する。

発電量監視:いかにして「異常」を検知するかが基本

太陽光発電のオペレーションは、基本的には、発電量監視と、アラート監視です。これによって、設備の異常を検知するということが主な目的です。

このうち、発電量監視からお話ししましょう。

基本的には、日射量に対して適切な発電量となっているのかどうか、ということの監視となります。

監視のイメージとして、それぞれの発電所の発電グラフの監視を行っている、ということを思い浮かべるかもしれません。実際に、一般的な太陽光発電のオペレーションセンターでは、それぞれの発電所の発電グラフの監視が行われているというケースはあります。しかし、それだけでは適切な発電量なのかどうかがわかりません。適切な発電量かどうかの判断には、気象データも必要です。本来であれば、日射量に対する発電量という形で監視ができればいいと考えています。日射量に対して十分な発電量となっていない場合は、何か問題があるということです。

とはいえ、現状ではほとんどの発電所において、日射量のデータと発電量のデータをリアルタイムでトレースし比較していくことは簡単ではありません。そこで現状では、前日分のデータを対象に分析を行い、主にPR値(システム出力係数:実発電量÷(パネル容量×日射量))が適正かどうかの判断をします。もっとも、PR値は事前に設定しておく必要がありますし、またそのしきい値をどのように作りこむかは、テクニックといえるでしょう。

また、PR値についていえば、精度を上げるために長期で分析を行う必要があります。発電所によっては、構造上影がかかってしまい、発電量が落ちたりします。そのため、単純にその時点の日射量計周辺だけの日射量を使ってPR値を計算してしまうと、PR値がずれ、異常判断してしまうということが発生してしまいます。

本来であれば、1年単位で季節変動を考慮したうえで、発電所固有のPR値まで分析することにより、本当の異常を検知できるようになります。 その上で、データを確認し、理想のPR値とのずれがあれば、何か起きているということになります。

今後は、上記の条件も織り込んだリアルタイムでのPR値による監視を行っていく方向で、現在はシステム開発中です。

株式会社afterFIT O&M 統括 小林悦郎氏

アラート監視:アラートの選別・判断が重要

アラート監視は、主にパワコン(パワーコンディショナー)からメールで上がってくるアラートを監視するというものです。アラートは頻繁に上がってきますが、これらを選別・判断し、本当に問題がある場合には何等かの対応、場合によっては緊急駆け付けを行います。

高圧の太陽光発電所の場合でいうと、アラートのおよそ7割は通信系の異常といわれています。すなわち、通信が「切れた/復旧した」というものです。多くの場合、切れてもすぐに復旧しているので、あまり問題にはなりません。一方、パワコンが落ちた場合は問題となりますが、これも本当に落ちたのか、計測器側の問題なのか、見極める必要があります。

いずれにせよ、アラートはひとつひとつに対応するのではなく、大きな流れの中で判断していくことになります。また、アラートの性質はパワコンのメーカーによっても異なっています。したがって、オペレーションを通じて、本当に駆け付けるべきアラートなのかどうかの判断は、発電所による癖のようなものもあり、私たちでも苦労しているところです。

オペレーションそのものがこなれていくということで、適格な判断ができるようになっていくものです。実際に、我々が見ている発電所の中からピックアップしてみると、だいたい40件の太陽光発電所の監視に対し、本当に駆け付けるべきアラートは1日あたり1件有るか無いかというのが現状です。

本当に駆け付けるべきアラートとは

なぜ、アラートの見極めが大切なのかといえば、駆け付けそのものがコストとなってくるからです。場合によっては、片道2時間の距離にある発電所の現場に行かなくてはなりません。

また、お客様との契約の内容によっては、年間の駆け付け回数が設定されている場合があります(発電所により駆付け回数無制限としているところも有りますが、その場合コスト算出で想定している回数より実働が少ない場合、お客様は無駄に契約料を払っている事になるからです)。回数を設定することで、お客様の負担を軽くしているのです。その上でなお、どうしても現場に行かなければいけないケースももちろんあります。

緊急駆け付けが必要なのは、どのようなケースか。ひとつは、電力系統側に対して波及事故を起こしかねないケースです。発電所の異常によって、電力系統側に影響を与えれば、場合によってはその地域での停電を引き起こすことにもなりかねません。監視カメラの画像で事故が確認された場合も、現場に行くことが必要です。

パワコンの再起動については、ケースバイケースです。リモートで可能な場合とそうではない場合があるからです。また、ブレーカーが落ちた場合は、やはり現場に行って復旧する必要があります。

アラートや発電量の監視をAIでやったら効率化できるのではないか、という意見があると思います。実際に、私たちもAIを使って、機械学習をさせ、効率化させていくことを進めています。ただ、現状はまだ学習させる情報量が十分ではなく、経験を積んだ技術者の判断の方が優れています。もちろんこれが将来は十分にAI化されることで、O&Mはもっと効率化できますし、お客様にもメリットがあると思います。

緊急駆け付けもほんとうに必要かどうかの見極めが重要

発電所によっても異なる判断基準

一方で、異常があってもアラートが上がらないケースもあります。発電量が20%も下がれば、パワコンの設定によってはアラートを出します。しかし、1ストリングでの異常の場合、1~2%しか変動しないので、アラートは上がりません(設定できなくないですが、誤報の嵐になります)。こうしたケースは、前述のようにPR値の分析を通じて追いかけていくことになります。

発電量監視にあたっては、ストリング監視を導入するケースがあります。これは低圧の発電所では使われていますが、高圧・特高の発電所で導入しているケースは少ないようです。最近は、パネル単位での監視ができるものが、メーカーから発売されていますが、これも同様に高圧・特高ではコストの観点から使われているところが少ないです。

理由はいくつかあります。ひとつは、ストリング監視がリーズナブルでない規模の設備だということです。すなわち、細かいところを監視するのではなく、全体の発電量を見ていくことが優先されるということです。

もうひとつは、最近の過積載となっている発電所では、ストリングごと、パネルごとの異常は、全体の発電量の中に吸収されてしまうからです。例えば、140%の過積載の場合、設備容量以上に発電されている時間帯が長いため、多少発電しないパネルがあっても、影響は小さいのです。

その一方で、PR値の分析などによって、大幅な発電量の低下が見られる場合は、リパワリングが必要になることもあります。リパワリングについては、別の機会に紹介したいと思います。

近年は、オペレーションに新たなテーマが加わりました。それは出力制御です。

九州電力管内などでは、太陽光発電が大量に導入されたため、電力需要が少ない時間帯(休日の日中など)は、一部の発電所に対して出力を抑制する指令が出されています。新たにつくる発電所に対しては、年間で200日の制御を系統連系の条件とする、といったケースもあるといいます。いずれにせよ、出力制御はこれからのオペレーションの作業として増えていくと考えられます。

監視機能+制御機能の2つの機能が一体になった機器も出ており、信号を受けたら自動的に制御するということが一般的になると思います。

今後も、オペレーションは進歩していくと思いますし、その一方で新たな要請も増えていくかもしれません。

連載 O&M、ほんとうの話

プロフィール

小林 悦郎 (こばやし えつろう)

1963年生まれ。山口県岩国市出身。
メーカー、IT人材派遣等といった各ステージ期の企業にてプロジェクトマネージャー、経営企画を歴任。その後、afterFITにて分析チーム、情報システムチーム、総務チーム担当を歴任。2019年6月より品質管理チームのマネジメントを担当。


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