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COP26で日本は何を成しえたか 排出削減目標引き上げ、米中対立、合意文書の修正など

2021年11月22日

石炭廃止、森林保全などGHG排出にまつわる周辺要素についても各国表明

なお、GHGの排出に関してはCO2以外に、メタンについての言及が注目を集めた。EUや米国など、およそ100ヶ国が、2030年までに2020年比で30%以上メタンの排出を削減することを目指す、グローバル・メタン・プレッジの正式発足を表明。米国と中国もメタンに関する協力と気候変動対策に関する強化を表明し、2025年には新しい削減目標(NDC)として提出するという。

また、11月2日には、2030年までに森林破壊を止めて回復させるという共同声明を、世界100ヶ国以上の首脳が宣言した。官民あわせて192億ドル(約2兆2千億円)を、森林保護や修復にあてる。宣言には、日本や米国、中国のほか、アマゾンの違法伐採が問題になっているブラジルや、インドネシアなども署名しており、賛同した国の森林を合わせると、世界の約85%の森林をカバーするという。

しかしインドネシアでは、ジョコ・ウィドド大統領が宣言に署名した一方で、同国のシティ・ヌルバヤ・バカール環境相が「できないことについての約束」はできないと発言。インドネシアに対して2030年までに森林破壊をゼロにするように強いるのは不適切で不公平だと反対意見を述べており、国際的な圧力と内情のギャップが浮き彫りになっている。

また11月10日には議長国である英国は、2040年までに新車販売を全て、電気自動車(EV)などCO2を排出しない「ゼロエミッション車」に移行する宣言に署名したと発表。

署名には、英国のほかにも、カナダ、オーストリア、イスラエル、オランダ、スウェーデンなど23ヶ国が参加し、カリフォルニア州やニューヨーク州などの地域政府や、米ゼネラル・モーターズ、フォード、独メルセデス・ベンツなど、世界の大手自動車企業6社も賛同した。

その一方で、自動車輸出大国の日本やドイツ、一大市場を抱える米国や中国は参加を見送った。

開催後から注目されたCOP26の議題結果
石炭火力と化石燃料についてインドの反発や、それを擁護する中国の姿勢により「石炭火力発電の段階的な廃止」という記載で、表現が弱められた。主要経済国は可能な限り2030年代に廃止するという声明に40ヶ国あまりが賛同も、日本は国内利用を続ける姿勢。
森林保全について2030年までに森林破壊を止めて回復させるという共同声明を、世界100ヶ国以上の首脳が宣言した。官民あわせて192億ドル(約2兆2千億円)を、森林保護や修復にあてる。
メタン排出についてEUや米国など、およそ100ヶ国が、2030年までに2020年比で30%以上の排出削減を目指す、グローバル・メタン・プレッジの正式発足を表明。
ガソリン車の新車発売終了について2040年までに新車販売を全て、電気自動車(EV)など「ゼロエミッション車」に移行する宣言に署名したと英国が発表。世界の大手自動車企業6社も賛同した。自動車輸出大国の日本やドイツ、一大市場を抱える米国や中国は参加を見送る。

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高橋洋行
高橋洋行

2021年10月よりEnergyShift編集部に所属。過去に中高年向け健康雑誌や教育業界誌の編纂に携わる。現在は、エネルギー業界の動向をつかむため、日々奮闘中。

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