百貨店業界の脱炭素といえば、他に丸井の動きが目立っている。同グループは2025年度に電力の70%を再エネに切り替え、2030年度に100%とすることを目標としており、「RE100(Renewable Energy 100%)」にも加盟している。RE100とは、事業活動に用いるすべてのエネルギーを再エネで調達し、温室効果ガスの削減を目指す国際的な取り組みのこと。再エネ切り替えだけでなく、照明設備のLEDへの切り替えや、空調の高効率化などによって、電気やガスなどのエネルギー使用の見直しを進めている。
これらの再エネ化によって、GHG排出量を2030年までに2014年3月期比で46%削減することを目指すという。
とはいえ、丸井の脱炭素について最も特徴的といえるのは、丸井グループのクレジットカード「エポスカード」の会員に対して、「みんな電力」への電力会社切り替えを推進する共同プロジェクトだろう。「みんな電力」は再エネ電力の供給割合が業界トップ水準の小売電気事業者。
エポスカードのポータルサイト「エポスNet」内の入力画面から、電気料金明細の画像を撮影するだけで、みんな電力の実質的なCO2排出量ゼロの電力プランに申し込める。同プランは電気料金の0.5%が日本国内の森林保全や育成を行う「みらいの森プロジェクト」に寄付されるので、その観点からもGHG削減に貢献できる。
さらに、丸井グループによる「みんな電力エポスカード」の発行により、入会時には1枚あたり1,000円が再エネ発電所に寄付されることにもなっている。2021年4月から、素材も廃棄プラスチック等を使用した環境配慮素材とすることでも、一時、話題を集めた。
丸井グループHPより
こうした大型百貨店の脱炭素が進むことは、そこに訪れる市民の生活に脱炭素が入り込むことになる。社会全体の脱炭素化に小売業界が与える影響は実に大きいといえるだろう。
ヘッダー写真:Kakidai, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
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