PPAをめぐり、日本でも「早めに再エネを安定的に囲い込もう」とする動きが顕著になりつつある。その理由は簡単だ。国土が狭い日本では太陽光などの再エネ設置場所が限られている。土地の奪い合いが、まずひとつ。もうひとつが、1kWhあたり10円程度で太陽光施設を開発できる事業者の奪い合いだ。太陽光関連事業者が倒産、撤退を繰り返した結果、開発事業者は減少した。実際、PPAを標榜する企業が組んだ事業者をみると、一部に偏っていることがわかる。
一方、開発事業者も難しい局面を迎えている。資源高の影響を受け、太陽光パネルの原材料はじめ、鉄や銅などの価格も軒並みあがり、コスト削減の限界に近づきつつあるという。
また、今秋に解禁されるオフサイトコーポレートPPAにも課題がある。それが再エネ賦課金だ。「需要家が電気の供給を受けるという点では同じにもかかわらず、ある需要家は賦課金を負担し、オフサイトコーポレートPPAの需要家は賦課金を逃れている。こうした不公平は回避すべきだ」という意見があがっており、経産省でも「賦課金の負担のあり方について、関係審議会で検討する」としている。
脱炭素の潮流、そしてPPAという新たな再エネ導入法が広がり、太陽光発電の潜在需要は高い。だが、倒産・撤退により、開発できる事業者は減少した。経産省は2022年度からPPAの導入を支援しようと80億円の補助金(需要家主導による太陽光発電導入加速化補助金)をはじめるが、これだけで果たして、日本の太陽光発電産業の再興につながるのか。
今年10月、出光興産が生産撤退を表明したことにより、日本から太陽電池メーカーが消えることになった。産業の再興はそう容易いものではない。太陽光関連事業者のさらなる経営努力とともに、安価な再エネを開発・供給できるよう環境整備なども欠かせないだろう。
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