脱炭素目指す裏で、太陽光関連業者の倒産が再び増加 2030年46%削減は達成可能なのか? | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

脱炭素目指す裏で、太陽光関連業者の倒産が再び増加 2030年46%削減は達成可能なのか?

2021年10月28日

倒産件数の増加によって、開発事業者の囲い込みがはじまった

PPAをめぐり、日本でも「早めに再エネを安定的に囲い込もう」とする動きが顕著になりつつある。その理由は簡単だ。国土が狭い日本では太陽光などの再エネ設置場所が限られている。土地の奪い合いが、まずひとつ。もうひとつが、1kWhあたり10円程度で太陽光施設を開発できる事業者の奪い合いだ。太陽光関連事業者が倒産、撤退を繰り返した結果、開発事業者は減少した。実際、PPAを標榜する企業が組んだ事業者をみると、一部に偏っていることがわかる。

一方、開発事業者も難しい局面を迎えている。資源高の影響を受け、太陽光パネルの原材料はじめ、鉄や銅などの価格も軒並みあがり、コスト削減の限界に近づきつつあるという。

また、今秋に解禁されるオフサイトコーポレートPPAにも課題がある。それが再エネ賦課金だ。「需要家が電気の供給を受けるという点では同じにもかかわらず、ある需要家は賦課金を負担し、オフサイトコーポレートPPAの需要家は賦課金を逃れている。こうした不公平は回避すべきだ」という意見があがっており、経産省でも「賦課金の負担のあり方について、関係審議会で検討する」としている。

脱炭素の潮流、そしてPPAという新たな再エネ導入法が広がり、太陽光発電の潜在需要は高い。だが、倒産・撤退により、開発できる事業者は減少した。経産省は2022年度からPPAの導入を支援しようと80億円の補助金(需要家主導による太陽光発電導入加速化補助金)をはじめるが、これだけで果たして、日本の太陽光発電産業の再興につながるのか。

今年10月、出光興産が生産撤退を表明したことにより、日本から太陽電池メーカーが消えることになった。産業の再興はそう容易いものではない。太陽光関連事業者のさらなる経営努力とともに、安価な再エネを開発・供給できるよう環境整備なども欠かせないだろう。

関連記事
大型倒産が目立つ太陽光関連業界の今後の動きは!? 第1回 太陽光発電業者の倒産連鎖
大型倒産が目立つ太陽光関連業界の今後の動きは!? 第2回 事業環境変化、ビジネスモデルの転換点

藤村朋弘
藤村朋弘

2009年より太陽光発電の取材活動に携わり、 その後、日本の電力システム改革や再生可能エネルギー全般まで、取材活動をひろげている。

エネルギーの最新記事