脱炭素社会に向けた電気自動車(EV)シフトが進展する中、集合住宅におけるEV充電設備の整備は遅れたままだ。EVの普及拡大にとって大きな課題ひとつとなっている中、マンションでもEVを充電しようと、充電環境整備に向けた取り組みが活発化しつつある。
マンションなどの集合住宅でもEVの充電ができるよう、日本のEV充電環境の整備促進という課題解決に向け、取り組みを強化している企業が増えつつある。
集合住宅への充電設備設置推進ビジネスを進めるユアスタンド株式会社は、10月7日〜8日に東京ビッグサイトで開催されたマンション総合EXPOに日東工業やパナソニックなど充電設備メーカーとともに出展した。
同社は首都圏を中心としたマンションなど集合住宅へのEV充電器の導入で管理組合などをサポートしてきた。予約・課金機能を併せ持つ利用者向けのアプリと、利用状況が確認できる管理者用のツールなどのシステムを開発し、EV充電器の設置や設置後の運用を提供している。
また、同社は全てのパレットにEV充電コンセントがつく機械式立体駐車場をニッパツと協同開発し、展示。特に東京のような都会では、設置場所が限られているため、立体駐車場におけるEV充電設備が大きな鍵となるとしている。同社によると、全パレットにEV充電コンセントを設置しても、ユアスタンドのマルチチャージングコントロール(MCC)で、既設の集合住宅の駐車場で共用部の分電盤から電気を供給した場合でも、ブレーカーの電気容量を超えずに複数のEVを同時に充電することが可能になるという。
EVグローバルアウトルック2021のレポートによると、世界中でEV充電の90%は自宅または職場の基礎充電で行われている。自宅の分電盤から配線すれば簡単に設置することができる戸建て住まいと比較し、マンションの場合は共用部に設置したときの運用方法や限られた電気容量、受益者負担による利用料金の徴収など、課題はまだまだ多い。
マンションでのEV充電の早期実現に向けた企業の取り組みに今後も注目していきたい。
EnergyShift関連記事
・国内EV販売が好調 2021年は前年比大幅に増加
・電気自動車が普及するには、どれぐらいの性能が必要なの?(前編)
ニュースの最新記事