東京ガス、脱炭素に総額2兆円投資 その中身とは? | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

東京ガス、脱炭素に総額2兆円投資 その中身とは?

東京ガス、脱炭素に総額2兆円投資 その中身とは?

2021年11月29日

11月26日、東京ガスは2030年までに脱炭素を含めた成長領域に、総額2兆円を投資することを発表した。また、その2兆円の内、再生可能エネルギー(再エネ)には6,000億円を投資することも報じられている。今回の投資計画では、2020年代前半は事業基盤の強化に向けて動き、後半からは利益成長の実現を目指す。最終的に、2030年度には純利益を現在の倍に当たる約2,000億円にするとしている。

東京ガスは2022年3月期から、株主還元を現状の6割から5割に引き下げることを発表しており、浮いた資金を今回の投資に活用する見通しだ。また、グリーンファイナンス等、新たな資金調達の手段も積極活用していく。

同社は2019年11月に、グループ経営ビジョン「Compass2030」を表明し、①「CO2ネット・ゼロ」への移行をリード、②「価値共創」のエコシステム構築、③LNGバリューチェーンの変革という3つの挑戦を掲げている。今回は、このCompass2030達成のための具体的な道筋となる「Compass Action」発表の場だった。

また今回の発表に当たっては、同社の内田社長が「再生エネ事業が利益貢献するのは早くて2020年代後半になる」と述べたことも報じられた。それに当たり、脱炭素までの移行期間には、燃料転換・スマートシティ化・カーボンニュートラルLNG(液化天然ガス)・CCUS(二酸化炭素回収・貯留技術)等によって、低・脱炭素化の社会的コストを抑制しつつ、着実な移行を実現していくことについても言及された。

実際、東京ガスからは、この発表の前日に当たる11月25日、同日26日と2日連続で、カーボンニュートラルメタンのサプライチェーン構築が発表されている。カーボンニュートラルメタンとは、再エネ由来の水素とCO2を合成したメタン。排出権クレジットを使ったカーボンニュートラルLNGとは別物で、燃焼によって排出されるCO2とメタン生成時に回収されたCO2とが相殺されるため、実質的にCO2が増加しないとされている。メタンは都市ガスの主成分として用いられる。

25日の発表では、マレーシアの国営石油会社Petroliam Nasional Berhad(ペロトナス)や住友商事と、マレーシアでカーボンニュートラルメタンを合成して、日本に導入するサプライチェーン構築の事業可能性調査開始を発表。26日の発表では、三菱商事と共働で北米・豪州等を中心に、カーボンニュートラルメタンの事業可能性調査を開始することを発表している。

東京ガスは先述の総投資額2兆円の内、1,000億円をこのメタネーション事業に投資するとしている。

また、東京ガスは再エネでの電力供給にも力を入れているが、2030年までに国内外の再エネの取扱量を従来目標の500万kWから600万kWへと上方修正していくことも発表した。2021年3月期の導入実績から約5倍に伸ばす見込みで、現在運用している太陽光や陸上風力、バイオマス、洋上風力(着床式)による電源を着実に拡大しつつ、浮体式洋上風力に関する技術開発にも注力していく見通しだ。

さらに、東京ガスは英国で急成長中のオクトパスエナジーと戦略提携を結ぶことで、新電力ブランド「TGオクトパスエナジー」も始動。今年11月から関東圏での電力販売を開始しており、2022年度上期中を目処に全国展開、Compass2030で掲げた顧客アカウント数2,000万件の達成を目指していく。

 

EnergyShift関連記事
電気・ガス共にCO2実質ゼロのマンション、野村不動産と東京ガスの連携で建築
東京ガス、株主還元を6割から5割に縮小 脱炭素資金捻出
オクトパスエナジー 「ビッグ6」に迫る再エネ新興勢力

EnergyShift編集部
EnergyShift編集部

EnergyShift編集部

ニュースの最新記事