9月29日、東京ガスは脱炭素に向けた投資資金を捻出するため、株主還元を減らすと発表した。2022年3月期から、連結純利益に対する配当と自社株取得の割合の比率を従来の6割から5割に縮小する。同日の取締役会で決議し、「財務体質の健全性を保ち、原資をCO2ネット・ゼロ(実質ゼロ)関連分野に振り分ける」としている。
今回の株主還元方針の変更により、還元率は他のエネルギー関連企業と同等になる。2022年3月期から自社株買いを圧縮して業界水準並みに下げるが、現状60円に設定している年間配当は下げない方針だという。
同社はいまの中期経営計画で太陽光や洋上風力、バイオマスといった再エネ投資を加速させており、2022年度までに200万kWまで拡大させる方針だが、株主還元の縮小によって、さらなる上積みを目指す。また、CO2と水素を合成して都市ガス主成分のメタンをつくる「メタネーション」の技術開発も進める。
脱炭素投資のために株主還元を減らすケースは世界でも珍しく、株主に一時的な負担を強いてでも、脱炭素時代の事業基盤を整えるとした今回の決断により、今後、機関投資家とのエンゲージメントを持てるかどうかが注目されている。
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