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スバル、初の世界向けEV 四輪駆動はガソリン車以上の走り心地で電池劣化も対策済

スバル、初の世界向けEV 四輪駆動はガソリン車以上の走り心地で電池劣化も対策済

2021年11月12日

11月11日、SUBARU(以下、スバル)は、電気自動車(EV)「ソルテラ」の仕様を公開した。ソルテラは同社が初めて世界に向けて販売するEVとなる。トヨタ自動車(以下、トヨタ)との共同開発で、2022年中ごろまでに日本や米国・カナダ、欧州などで発売する。

スバル車は、独自の水平対向エンジンをはじめとしたエンジンや、予防安全装置の開発に定評があり、多くのファンを持つ。スバルも自社ホームページで、ソルテラについて「BEV(Battery Electric VehicleでEVと同義)ならではの新しい価値や、私たちが長年にわたって大切に培ってきた『安心と愉しさ』というSUBARUならではの価値を詰め込む」としている。

ソルテラは5人乗りで前輪駆動車と四輪駆動車の2パターンを用意。航続距離はそれぞれ約530kmと約460kmとのことで、大容量バッテリーによって、日常生活に十分な航続距離を実現した。またバッテリーの劣化対策としては電池材料や電池制御の工夫により、10年後も十分な電池容量を残せるとしている。

生産はトヨタが担い、基幹部品の電池も、トヨタとパナソニックの合弁会社「プライムプラネットエナジー&ソリューションズ」製と、中国寧徳時代新能源科技(CATL)製を使う。日本と中国で生産するが、既存車両の製造ラインを活用するため、専用の拠点は設けないという。

ソルテラには、EV専用プラットフォーム(車の骨格部分)として、トヨタと共同開発したe-Subaru Global Platformを用いており、総合安全と動的質感の向上を目指した。

特に安全性においては、バッテリー搭載のために車両重量が重くなりやすいという、EVの難点を解消すべく、各部位の材料の強度を最適化。ボディを軽量化しながら高い衝突安全性を実現した。万一の事故の際にも、堅牢なボディ骨格構造などにより、乗員はもちろん、高電圧の電気部品もしっかり守ることをホームページで宣言している。

また、動的質感においても、スバルが培ってきた四輪駆動の技術を生かし、前輪と後輪をそれぞれ別のモーターで駆動するEVならではの新システムを採用。ガソリン車以上に、レスポンスの良いアクセル操作が可能となり、EVでなければ実現できなかった走りを提供する。

11月11日に東京都内で開いたイベントに登壇したスバルの中村知美社長は「EVでもやっぱりスバルだ、と感じてもらえる車に仕上がった」と話している。

「大地と空と自然がSUBARUのフィールド」と謳うスバルは、2030年までに、世界で販売される新車の40%以上をEVとハイブリッド車(HV)にすることを目指す。2050年には、すべての新車から算出されるCO2排出量を同2010年比で90%以上削減する。ソルテラは、同社の脱炭素化を実現させるための第一号となる。

中村社長は「クルマの電動化などの商品のみならず工場・オフィスなどの事業活動全般を通じて2050年カーボンニュートラルに対応すべく、あらゆる側面で対応を進めていきます」と語った。また「EVはまだもうからない。(電動化の選択肢を)EVに決め打ちはしない」「EV市場の形成期にはトヨタと協業を深めて対応するのが基本だ」と述べたことも日経新聞で報じられている。EVに決め打ちしないスバルが、今後拡大していくEV市場の中で、どのように対応していくのか注目が集まろうとしている。

 

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EnergyShift編集部
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