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脱炭素に本気の伊藤忠商事が魅せる事業改変 注目すべき動きは「石炭」「水素」「再エネ」

2021年12月16日

再エネへの取り組み グリーン電力の供給強化へ

伊藤忠では、地熱・風力・太陽光・バイオマス等の再エネを活用した発電事業を積極的に推進しており、発電事業全般において、持分容量ベースの再エネ比率を2020年度の14.5%から2030年度までに20%超への拡大をめざす(図2)。

図2


出所:伊藤忠商事

太陽光発電に関しては、2025年までに国内約5,000ヶ所で小規模発電所を新設すると12月13日に発表した。太陽光発電による電力供給体制を構築し、企業に電力を長期供給するという。発電規模は合計約50万kWと火力発電所1基分に相当する。

伊藤忠は太陽光発電事業を手がけるクリーンエナジーコネクトに11月に出資。同社と共同で全国の遊休地を買収し、小規模の太陽光発電所の開発を進める。

これまで企業が再エネ電力を調達するには、固定価格買い取り制度(FIT)に基づき大手電力や新電力などから再生エネ由来の電気であることを示す証明書付きで購入することが多かった。しかし、FIT制度に頼らず、企業が自社専用の発電所を新しく作るなど、再エネ電源を導入することが求められている

近年、脱炭素の流れを受けて再エネ事業者が企業に電力を長期供給する動きが広がっており、同社は直接貢献が可能な「オフサイトコーポレートPPA(Power Purchase Agreement)」で、再エネ事業者が企業と長期契約を結んで電力を供給する(図3)。これまでに第一生命保険、清水建設等と国内のオフサイトコーポレートPPAを締結している。

図3:オフサイトコーポレートPPAサービス概要


出所:伊藤忠商事

今後は資本業務提携先の株式会社アイ・グリッド・ソリューションズが展開するオンサイト型(屋根置き)の太陽光発電所とCEC社が展開するオフサイト型の太陽光発電所の両面で、国内の再エネ分散型電源の普及を進める

『三方よし』の精神で業界の脱炭素をリードする

エネルギー市場が激変する現在、資源の安定供給に深く携わってきた商社は、脱炭素社会を見据えたビジネスモデルへと転換させていくことが喫緊の課題となっている。各社とも2050年に温暖化ガス排出量をネット(実質)ゼロにする方針を掲げており、全社を挙げて実現に取り組んでいる。

伊藤忠は『売り手によし、買い手によし、世間によし』を示す『三方よし』の精神を現代のCSRにつながるものとし、経営理念の根幹としている。

世の中に善き循環を生み出し、持続可能な社会に貢献する伊藤忠の目指す商いの心で「脱炭素社会」の実現に向けて業界をリードしていくのか、今後も注目していきたい。

 

脱炭素の取り組みを推進する企業一覧はこちらから

東條 英里
東條 英里

2021年8月よりEnergyShift編集部にジョイン。趣味はラジオを聴くこと、美食巡り。早起きは得意な方で朝の運動が日課。エネルギー業界について日々勉強中。

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