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押し寄せてくる「中国EV網」 トヨタ・日産・ホンダはどう迎え撃つか

2022年01月12日

トヨタ、日産、ホンダ…日本産EVの実力は…?

メーカー車種バッテリー容量/航続距離価格サイズ
トヨタbZ4X71.4kWh/FWDで500km前後
4WDで460km前後
4万1,950£(約630万円)~
5万1,550£(約780万円)
全長4,690mm
全幅1,860mm
全高1,650mm
日産アリア66kWh/470km(2WD)、
430km(4WD)
91kWh/610km(2WD)、
580km(4WD)
539万円~全長4,595mm
全幅1,850mm
全高1,655mm
リーフ40kWh/322km332万6,400円全長4,480mm
全幅1,790mm
全高1,540mm
ホンダHonda e35.5kWh/283km、259km451万円~495万円全長3,895mm
全幅1,750mm
全高1,510mm

※モバイルの場合この表は左右にスクロールします

では、迎え撃つ側になる日本産EVに目を向けていこう。

まずはEV推進派としてのアピールを続けるトヨタだが、同社のEVといえばSUBARUとの協業で開発した、同社初の量産型EV「bZ4X」が話題になっている。その特徴はEVのために新設計されたプラットフォーム(車台)「E3」を用いている点と、トヨタとしては初めて水冷式のリチウムイオン電池を用いている点だ。

そんなbZ4Xは全長4,690mm×全幅1,860mm×全高1,650mmというサイズ感で、ベースグレードのバッテリー容量は71.4kWh。そして、航続距離はFWDで500km前後、4WDで460km前後と公表されている。

2021年12月15日に公表された英国価格は機器グレードごとに、bZ4X Pureが4万1,950ポンド(約630万円)、bZ4X Motion(FWD)が4万5,750ポンド(約690万円)、bZ4X Vision(FWD)が4万7,650ポンド(約720万円)、bZ4X Premiere Editionは5万1,550ポンド(約780万円)となっている。更なる詳細については、2022年初頭に発表される他、第2弾に予想されているスポーツセダンはBYDとの協業で進められるという報道もある。当然、その中心となるのは、BYDのブレードバッテリーだ。それにより、現行モデルから価格も抑えることが可能と目されている。

そんなbZ4Xと同価格帯でライバル視されているのが、日産の「アリア」だ。こちらは66kWhバッテリーで2WDのベースモデル「B6」が539万円となっている。日本で販売されるのは、他に66kWhバッテリーで4WDモデルの「B6 e-4ORCE」、91kWhバッテリー搭載で2WDモデルの「B9」と4WDモデル「B9 e-4ORCE」の4グレード。66kWhの2グレードのみ、すでに予約可能となっている。

サイズはどのグレードも全長4,595mm×全幅1,850mm×全高1,655mm。最大航続距離はB6で470kmとなっている。また、2021年6月時点の情報では、B6 e-4ORCEで430km、B9で610km、B9 e-4ORCEで580kmと公表されている。

また、日産のEVといえば、その先駆け的存在である「リーフ」が思い浮かぶ人も多いだろう。リーフは2017年9月にフルモデルチェンジをしており、全長4,480mm×全幅1,790mm×1,540mm。一番低いグレードのモデルが40kWhのバッテリーで航続距離322km、価格も332万6,400円からとなっている。日本産EVの中では比較的リーズナブルなことに加え、EVに対して先進的に動いてきた日産のイメージも相まって2019年には総販売台数が40万台に達した。

最後に紹介したいのは、ホンダだ。トヨタと同様に、ホンダもここにきてEVシフトへ加速すべく、これから5年間で10車種のEVを中国市場に投入していくと2021年10月に宣言している。

そんなホンダのEVが2020年10月に発売されたホンダの量産型EV「Honda e」シリーズだ。Honda eは、全長3,895mm×全幅1,750mm×全高1,510mmというサイズ感で、容量35.5Whのバッテリーを搭載。航続距離はHonda eのWLTCモード(市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モード)で283km、さらにグレードアップ版のHonda e Advanceで259kmとなっている。価格はそれぞれ税込み451万円と同495万円。四人乗り乗用車としては、「bz4X」や「アリア」より、性能も価格も抑えられた印象になっている。

また、日本メーカーも2人乗りの超小型モビリティの製造も視野に入れて動いていることが報じられている。トヨタによれば、2022年に発売予定の超小型車種の「トヨタシーポッド」は全長2,490mm×全幅1,290mm×全高1,550mmというサイズで航続距離は150km価格は約165万円からということで、宏光MINI EVには及ばないが、比較的手軽にEVを購入できる値段となっている。他にも日産と三菱が共同開発している軽EV「日産IMk」が2022年4月発売予定であるなど、小型のリーズナブルな車種においても動きが整ってきている

これまでは購入対象として意識されてこなかった中国産の自動車がEVシフトを機に、日本でも存在感を発揮し始めているのは疑いようのないことだ。日本の自動車メーカーが、航続距離や価格、あるいは安全性能など、中国産EVに対してどのような差別化ポイントを以って、強みを作っていくのか、これからも注目していきたい。

 

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高橋洋行
高橋洋行

2021年10月よりEnergyShift編集部に所属。過去に中高年向け健康雑誌や教育業界誌の編纂に携わる。現在は、エネルギー業界の動向をつかむため、日々奮闘中。

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