9月7日、独のエネルギー大手RWEは、洋上風力発電で世界初のリサイクル可能な風力発電タービンブレードの実証を行うと発表した。
風力タービンブレードには、風車製造大手のシーメンスガメサ・リニューアブル・エナジー(SGRE)製を使用。長さ81メートルの同ブレードは、使用後も部品を他製品にリサイクルすることができる。ドイツにあるRWEのカスカジ洋上風力発電所で2022年に実証を行う予定だ。
これまでのタービンブレードは、ガラス繊維や炭素繊維と粘着性のあるエポキシ樹脂を混ぜて加熱して作られるため、リサイクル向けに分離することが難しく、大半が埋立地に捨てられていた。
一方、シーメンスガメサ製ブレードは新しい化学構造の樹脂が使用されており、樹脂を効率的に分離することが可能だ。新たな樹脂の採用により、材料本来の特性が保護されるため、自動車産業をはじめ、スーツケースや液晶ディスプレイのフレームなどに再利用できるという。
RWEはドイツ北西部にあるヘルゴラント島の北35kmの海域に、総出力342MWのカスカジ洋上風力発電所を建設しており、38基の風力発電機のうち、複数の風車にリサイクル可能なブレードを搭載する。
さらに、発電設備の「モノパイル」と呼ばれる着床式基礎にスチール製の環状部材を海底面に施工するという初の試みを行う。また、RWEはモノパイルを目標の海底貫入深度まで打ち込む施工方法の改良も図っており、新たな部材と施工方法の採用によって、施工作業のスピードが従来と比べ大幅にアップすることが見込まれており、騒音も大幅に低減することから、海洋環境への影響も軽減するという。
同社は、もともと褐炭火力発電会社として創業された。2019年に、発電の中心を褐炭・石炭と原子力から、再生可能エネルギーに移すことを宣言し、経営戦略を大きく転換したことで世界中のエネルギー市場を驚かせた。
同社の子会社であり、発電ポートフォリオの脱炭素化を推進するRWE Renewablesが8月23日に日本国内における大規模浮体式洋上風力発電の開発に向け、関西電力と提携したことも記憶に新しい。
RWEでは、グループ一体となって洋上風力発電業界における技術開発を推し進めており、欧州はじめ日本、アジア市場でのシェア拡大を目指している。
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