取りまとめでは最後に、現状における課題が示されている。
今回の見通しではひとまず夏期や冬期の需給ひっ迫が回避された形となっているが、供給力の減少が回避されたわけではなく、想定外の厳気象となれば再び需給がひっ迫する。そのため、国や発電事業者などと連携した検討を進めていくことが必要だという。また、ウクライナ情勢などにより、燃料調達リスクが拡大しており、発電事業者からの需給状況のモニタリングを行なっていくことの重要性は増しているとしている。
容量市場と需給調整市場についても言及している。容量市場の約定結果によって休廃止する電源がある以上、何らかの対応策は必要であり、これについても国と連携して検討していくとしている。さらに、容量市場の中に需給調整市場で取引される調整力も含まれることから、この2つの市場の連携も不可欠だと指摘。とりわけ2024年度からは調整力公募がなくなるため、調整力がこの2つの市場で運営可能な状況にしていくことは、何らかの対応が必要だという認識だ。
短期的な見通しはひとまず供給力が確保され、中長期的にも、川内原子力1号機の運転延長が未定なことを除けば、需給バランスがとれているというのが、今年度の取りまとめの結論ということになる。とはいえ、最初に指摘したように、OCCTOの最大需要予測が外れる可能性はあり、今年3月22日の想定外の需給ひっ迫は今後も起こりうる。また、需給できていたとしても、LNG価格のさらなる高騰によって電力市場価格が高騰することもある。
こうしたことを考えると、電力の需要家もまた、需給ひっ迫や価格高騰に備えておくことが必要だろう。停電を回避するための大胆な節電の準備や、電力利用の効率化、自家消費型の再エネ発電所の開発などを進めておくことは不可欠だといっていいだろう。
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