日立造船、東芝エネルギーシステムズなど、ウィンドファームの風況予測を九州大学と共同研究 加速度を増す企業の洋上風力進出 | EnergyShift

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日立造船、東芝エネルギーシステムズなど、ウィンドファームの風況予測を九州大学と共同研究 加速度を増す企業の洋上風力進出

日立造船、東芝エネルギーシステムズなど、ウィンドファームの風況予測を九州大学と共同研究 加速度を増す企業の洋上風力進出

EnergyShift編集部
2021年04月21日

洋上風力発電への企業の進出が加速している。先日発表された九州大学との風況予測の共同研究では日立造船をはじめ、4社が参画した。

集合型洋上風力発電の風速欠損をモデリング

日立造船、東京ガス、東芝エネルギーシステムズ、JRE(ジャパン・リニューアブル・エナジー)は4月19日、九州大学・内田孝紀准教授の研究チームとともに、洋上風力発電に関する共同研究をおこなうと発表した。

この研究は、AIを用いた風況予測モデルシステムを用いる。洋上風力発電、特に大規模の洋上ウィンドファーム(集合型洋上風力発電)で問題になる、風速減衰効果(風速ウエイク)をモデリングできる。

風速ウエイクとは、簡単に言えば回転翼の後ろ側の風速が落ちることを言う。大規模洋上ウィンドファームではこのウエイクが相互に干渉しあい、正確な予測が困難だった。

同研究室は、2018年4月からは、日立造船と東芝エネルギーシステムズとともに共同研究をおこなっていた。こちらは、風力発電事業者が実際に利用することを想定したもので、比較的容易に風速ウエイクをモデリングできる。日立造船が所有している秋田県の雄物川風力発電所(2MW・2基)を使って実証が行われた。


大規模洋上ウィンドファームにおける風車ウエイクの相互干渉の可視化例(実現象) 九州大学プレスリリースより

日立造船の脱炭素企業への転身

日立造船は2002年の造船事業分離から、再エネ企業への転身を図っているように見える。従来から廃棄物発電プラントにも熱心だったが、ここに来て他分野でも実を結んでいるようだ。

陸上風力発電は2001年の静岡県伊東から7ヶ所、洋上風力発電は2019年に福岡県北九州市に1ヶ所、すでに納入を終えている。

青森県北沖(日本海側)の洋上風力発電の計画も進む。ここは最大出力50万キロワットの計画だ。

水素製造ではイオン交換膜を使用する固体高分子形の水素製造装置を受注。この水素製造法はグリーン水素になる。全固体リチウムイオン電池では今年3月に1,000mAhのセルを発表している。同社従来品(140mAh)の7倍であり、世界最高クラス、放電可能温度も広く、真空耐性もあるため、JAXAとの実証実験を共同でおこなう。


日立造船の開発した全固体リチウムイオン電池(サンプル・日立造船プレスリリースより)

産業技術総合研究所(産総研)とは「日立造船―産総研 循環型クリーンエネルギー創出連携研究室」を設立。産総研のエネルギー回収・貯蔵技術や設備、分析・評価技術と、日立造船のものづくりやエンジニアリングの技術を融合して、研究開発をおこなう。

4月20日にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同も発表。情報開示にも積極的におこなうとしている。

日立造船のものづくりのスピリットが、気候変動対策・脱炭素企業へどういかされるか、注目される。

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