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世界で再び脚光浴びる原子力 不信感が根強い日本の原子力発電の実情とは

2021年11月19日

何もしなければ、いずれ日本から原子力産業は消えてなくなる

新増設や建て替えをしなければ、日本の原発は先細り、いずれは技術、人材、産業基盤が喪失してしまう。

一方、最大限の導入をめざす再生可能エネルギーも課題が多い。太陽光発電にしても、陸上風力にしても適地は限られ、大規模な発電施設の開発は限界を迎えつつある。切り札と位置づける洋上風力も、計画どおり開発が進むかどうかは不透明だ。地熱や中小水力は一段の政策支援がなければ、増やすことは難しい。バイオマスに関しては、欧州などで脱炭素電源から外す動きすらある

また天候などで出力が変動する太陽光発電や風力発電の調整電源として、あるいは大量な水素製造に向けて、次世代原子炉は欠かせないとする意見には一定の妥当性もある。

国は第6次エネルギー基本計画においても、原子力政策について「可能な限り原発依存度を低減する」としつつも、「2050年に向けては安全性の確保を大前提に必要な規模を持続的に活用していく」と曖昧なままとした。

2050年を超えても使い続けるのか、それとも、このまま何も決めずにただフェードアウトを待つのか。政治決断する時期に差し掛かっているのではないだろうか。

ヘッダー写真:Alpsdake, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

藤村朋弘
藤村朋弘

2009年より太陽光発電の取材活動に携わり、 その後、日本の電力システム改革や再生可能エネルギー全般まで、取材活動をひろげている。

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