自宅で自動車の動力源を補給できるというのは、EVがガソリン車に勝っている大きな点の一つだが、中には、ガソリン車がそうであったように街中の充電スタンドで事足りるという人もいるだろう。国内の電気自動車の充電スタンドの数は、2021年7月の時点で約2万1,000ヶ所。高速道路のサービスエリアや道の駅、ショッピングセンターなどの商業施設、ホテルのような宿泊施設などに設置されている。
下の図はEVの開発・普及に先進的な日産自動車のホームページに掲載されている、電気自動車用充電スタンドの分布図だ。
日産自動車https://www.nissan.co.jp/EV/CHARGE_SUPPORT/
現時点で、これだけの拡充を見せているうえ、今年の10月29日には三菱自動車が、日本郵政グループ、東京電力グループとの共働で、EV用急速充電器を郵便局に整備する実証実験の開始を発表した。実験は、郵便局の集配用車両へのEV導入拡大を目的として、東電が整備する充電設備の一部を、地域の企業や来局者に利用してもらうというもの。栃木県小山郵便局と静岡県沼津郵便局で行われる。
その実証実験で、三菱自動車は郵便局の集配用EV「ミニキャブ・ミーブ」の走行データと電池残量の推移等のデータを取得・分析を担う。郵便局の集配用EV車両だけでなく、商用EV全体の走行性能の向上に取り組んでいく方針だ。
また、この実証実験は郵便局に設置する太陽光発電施設やEVなどを活用し、停電や台風時などの災害に強い街づくりに貢献することも狙いとしている。
また、EVステーションを備えていることでは、イオンが有名だ。2008年に埼玉県のイオンレイクタウンにEV用急速充電器を設置したのを皮切りに、以降、新たに開店するショッピングセンターの大部分にEV充電器を設置している。
その他、コスモ石油は今年の4月から、SSセルフピュア新宿中央において、CO2フリー電力「コスモでんきビジネスグリーン“B”」でのEV充電サービスも開始した。同プランは、トラッキング付非化石証書によりCO2をオフセットした、排出量実質ゼロのFIT(固定買い取り制度)電力を供給する。EVは運転中にCO2が排出されない点で脱炭素に貢献できるが、その供給電力を再エネで賄うことによって、本当の意味で車での脱炭素を達成することができる。
このように、EVの充電設備は、質量ともに伸びていく最中にある。まだまだ、自分の身近な場所には届いていないという声を持つ人もいるだろうが、全国規模で、EVスタンドが普及しているのは紛れもない事実だ。
三菱自動車「カーボンニュートラル化の推進に向けた実証実験の開始 および三菱自動車工業株式会社の参画について」より
このように、EV普及に向けて、費用や充電環境など、周辺状況の進化は目に見えるものとなっている。あとは、今後生産されていくEVの、コストも含めた性能がどれだけの進化を見せて、どれだけ多くの人に次の購入車はぜひEVにしたいと思わせてくれるかだろう。
購入者自身が、無理のない、良い買い物をしたと思えて、それが脱炭素にもつながっていく。そういった形でEV普及が進んでいくことを願うばかりだ。
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