3月4日、自民党の再生可能エネルギー普及拡大議員連盟(以下、本議連)が開催され、講師に三菱商事エナジーソリューションズ株式会社の岩﨑芳博氏が招かれた。本議連では、同社が中心となって進める3海域での洋上風力発電について、事業計画よりも前に運転開始時期を設定されていたら入札価格をさらに下げられたと語る等、新たな情報が明かされた。
まず本議連の前提となっているのは、昨年、経済産業省資源エネルギー庁と国土交通省が実施した、着床式洋上風力発電プロジェクト3件の事業者を決める競争入札だ。落札対象となったのは、秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖と同県由利本荘市沖、千葉県銚子市沖の3海域だが、このすべてを落札したのが三菱商事及び同社と組んだ中部電力系企業のコンソーシアムだった。
再エネを通して日本国内での新たな産業を推進させようとする三菱商事の熱意が見える一方、他社と比較して圧倒的に低かった入札価格には、疑問や批判の声も集中。今後の入札基準の見直しや審査評価の透明化が提言されるなど、議論が噴出した。
今回の議連では、そうした過去に報道・言及された話題について、岩﨑氏が説明・解説。その内容が、議連会長の柴山昌彦衆議院議員と事務局長の秋本真利衆議院議員を通して報道陣へ伝えられた。
そして、その内容は大きく下記の3テーマに分けられた。
最初に触れた話題は、三菱商事の落札は地元企業との対話がないまま行われたものである、という一部報道についてのものだった。この件について、柴山氏は報道内容が事実と大きく異なると述べた。
第一に、入札というシステム上、当然ながら入札機関自体が地元との接触を図ることはなかったこと。次に、地元企業に対する事前調査やロケーションハンティングを行い、地元企業への需要創出や地元への負担軽減に結びつける取り組みは行っていたというのが、三菱側の主張だ。さらに、地元企業とコンソーシアムを組むに当たって、風車やオペレーションなどを組める地元企業に当たりをつけて対話を重ねる等、地域産業との連携は密に行っていることも強調。固定価格買取制度(FIT)スキーム以外の収益を折り込んでいるという憶測も否定した。
今後は洋上風力を軸に観光も含めた地方創生に貢献していくとしており、決して地元企業を軽んじているわけでないことを明言した。
自民党の再生可能エネルギー普及拡大議員連盟の様子
出典:編集部撮影
また、三菱商事側から集まった議員に対しては、セントラル方式の確立・導入を間違いなく進めてほしいという要望が出された。セントラル方式とは、政府などが導入計画を明確化し、環境アセスメントや系統接続などの立地調整を主体的に先導することを指し、発電事業者のリスクを低減することにつながるとされている。
また、ウィンドファーム認証(風力発電所を建設するサイトの環境条件の評価を行い、適合証明書を発行すること)の見通しについても言及しており、全般的に、風力発電に対してスムーズな導入が可能となるよう、評価方法を含めて制度を整備してほしいとする旨が届けられた。
こうした、制度整備にまつわる言及があった裏には、洋上風力を日本の再エネ事業の柱にしようとする三菱商事の強い思いもあっただろうが、もう一つ大きな理由があったと考えてもよさそうだ。それが、本議連で最も大きな話題となった、先の競争入札における運転開始時期の問題だ。
他社を圧倒した三菱商事。運転開始時期の遅れとの関係性とは・・・次ページ
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