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日本が先行しているアンモニア発電は脱炭素の切り札となるか

2021年11月10日

日本も安定調達に向け供給網を構築へ

日本もアンモニアの安定調達に向け動き始めた。政府は天然ガスなどの産出国であり、大量の再エネも利用できる可能性がある中東などで生産段階から日本企業が関わることで、供給量の確保を急ぐ。

JERAと資源開発企業INPEXは、UAE(アラブ首長国連邦)の国営石油会社と連携してアンモニアを製造、輸入し、火力発電の燃料としての利用を目指している。提携にあたっては経済産業省が仲介役を果たした。

伊藤忠商事は東シベリアからアンモニアを日本に輸送しようと、事業化調査を進めている。IHIは、マレーシア最大の電力会社、テナガ・ナショナルと提携し、アンモニア発電を共同で取り組む方針だ。再エネを使ったアンモニア製造も実施する。今後も日本が先行するアンモニア発電技術をもとに、石炭火力への依存度が高いアジア各国との連携は深まる見込みだが、政府にはグリーンアンモニアの確保に向けた新たな燃料・エネルギー外交が求められている。


出典:経済産業省

経産省の試算では、発電コストは水素と比べれば大幅に安いが、石炭や天然ガスよりは高く、コスト低減も欠かせない。また再エネをそのまま使うのではなく、水素をつくり、その水素からアンモニアを合成するため、エネルギー効率も悪い。そのため、電力需給がひっ迫する冬や夏など、特定の季節に使うといった工夫も必要だろう。

アンモニア発電は、将来のカーボンゼロ発電としてその注目度は高い。しかも、日本が世界に先行する技術でもあり、マレーシアでの展開もはじまった。コストや効率性、資源調達など課題は抱えるものの、官民あげての技術開発に今後も期待したい。


出典:経済産業省

(Research:本橋恵一)

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藤村朋弘
藤村朋弘

2009年より太陽光発電の取材活動に携わり、 その後、日本の電力システム改革や再生可能エネルギー全般まで、取材活動をひろげている。

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