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冬のLNG、「在庫リスクを見極めて早めの対策を」電事連会長

冬のLNG、「在庫リスクを見極めて早めの対策を」電事連会長

2021年10月25日

電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)は10月22日、需要が高まる冬場の液化天然ガス(LNG)需給について「現時点で逼迫する見通しではない」との認識を示した。

火力発電の燃料として使うLNG価格は高騰しており、10月6日には東アジアスポットLNG価格が過去最高値を更新した。これに伴い、電気料金に上昇圧力が続く見通しだ。契約に関しては事業者ごとに状況は異なるが、15年から20年程度の長期契約の調達比率が高い。

LNGは在庫不足が生じてもすぐには調達ができない。産地との長期契約が主で、スポット調達でも届くのに2ヶ月程度かかるため、生産から調達までのリードタイムが長い。寒波で需要が急増しても、LNGのサプライチェーンは需給の急変には対応しきれないというリスクがある。池辺氏は「在庫リスクを見極めて早めに(調達の)対応をする」とした。

昨年末から今年1月にかけて、LNG不足に加えて東アジアの記録的な寒波や、日本が長期契約を締結するLNG供給設備等においてトラブルも重なり、電力需給が逼迫した。

電力会社は2022年1月の需要期に向けて発電所の補修時期をずらしたり、休止中の発電所の稼働を公募したりするなどの対策を進めている。池辺氏は「日ごろの発電所の保安管理を徹底し、供給力が低下しないよう最大限努める」とした。

日本のLNGの輸入価格はガス価格ではなく原油価格に連動していることから、高油価局面では国内の輸入価格が他の地域に比べ極端に高くなるなど、天然ガスの需給が適切に反映されづらい構造になっている。欧州でも在庫水準が回復せず、寒い冬となればLNG需要をさらに押し上げる要因となる可能性もある。

日々ダイナミックに変化しているLNGを取り巻く環境に今後も注目が必要だ。

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EnergyShift編集部
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