経済産業省は10月21日、液化天然ガス(LNG)の確保に向けた初めての官民連絡会議を開き、LNGなど燃料の調達を促す検討に入った。資源価格の高騰が続く中、暖房需要が増加する冬場に向けて、2020年1月、発電用LNG の在庫低下により電力需要が逼迫したことを踏まえ、電力需給対策を示した。
具体的な電力需給対策は、大手電力会社のLNGの在庫を監視、発電事業者への燃料確保の要請、供給力の確保、一般需要家への省エネ要請の4点だ。
経産省は現状では電力需要の高まる冬に燃料が逼迫する可能性は低いと説明するものの、想定を超える需要増や発電設備のトラブルがあれば、電力需給が厳しくなる可能性があるとも指摘。予防手段として燃料を追加調達して発電所の稼働を計画よりも増やすため、送配電事業者を通じて電力会社や自家発電所を持つ企業を募ってもらう。
資源エネルギー庁が実施している大手電力のLNG在庫調査によれば、10月15日時点のLNGの在庫は約230万トンと過去5年間で最高水準となり、2020年同時期と比べて4割多い。
2021年度冬季の電力需給については最低限必要な予備率3%を確保できているものの、過去10年間で最も厳しい見通しとなっている。昨冬は、断続的な寒波による電力需要の大幅な増加やLNGの在庫量低下によるLNG火力の稼働抑制などにより、電力需要の逼迫が生じたため、この冬に向け、的確な電力需給対策が急務となっている。
会議には関西電力やJERAなどの電力大手、東京ガスなどガス大手、LNGの開発・調達を手掛けるINPEX、総合商社の役員らも参加。資源エネルギー庁の保坂伸長官は、「仮に想定を超えて需給が逼迫した場合は業界の垣根を越えて融通するなど全体で緊急時に備えてもらいたい」と求めた。
世界的に燃料・電力を取り巻く状況が厳しさを増していることも踏まえ、状況の推移をモニタリングしつつ、対策に取り組むことが必要だという。
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