COP26の日程は、通常であれば会期末近くに行われる首脳レベル会議が、直前のG20ローマ・サミットの日程を受けて会期の冒頭における世界リーダーズ・サミットという形で行われた。この場で各国首脳が削減目標と資金拠出にどのような発言を行うのかが、COP26のハイライトとなった。
削減目標についていえば、COP26開催前の各国の目標をすべて実現したとしても、平均気温の上昇が2.4℃になるという試算もなされていた。とりわけ中国、インド、ロシアの削減目標の上積みが注目されていた。
一方、資金拠出については、先進国は2020年まで年間1,000億ドルの長期気候資金(LTF)を提供することを約束していたが、実際には未達となっており、毎年およそ300億ドルも不足している。この資金が途上国の、GHG排出削減や気候変動に対する適応に使われる。しかも、実際には1,000億ドルでも十分ではないというのが実情だ。先進国に対しては、この資金の上積みが注目されていた。
資金については、米国のバイデン大統領は、2024年まで毎年30億ドルの支援を行うことを議会に求めていくことを表明した。一方、日本の岸田首相は今後5年間で最大100億ドルの追加の支援を行うことを発表、ドイツのメルケル首相は2025年までに資金を年間60億ユーロに増額することを表明した。さらに、スペインのサンチェス首相は資金を50%増の13.5億ユーロまで増額することを表明、また、デンマークのフレデリクセン首相は2023年までに少なくとも1億ドルを動員、ノルウェーのガール・ストーレ首相は2026年までに現状の8億ドルから16億ドルに引き上げることを表明した。
こうした資金拠出の引き上げによって、米国のケリー気候問題担当特使は、年間1,000億ドルという目標は達成されるだろうとした。しかし、これで問題が解決したわけではない。そもそも、過去数年間にわたって、毎年300億ドル程度の不足がある。その上で、2021年以降も資金が必要ということだ。しかも、実際には1,000億ドルでは資金は足りないというのが実情だという。
COP26の交渉においては、2021年から2025年までの資金については、倍増を目指すということで決着した。したがって、1,000億ドルではすでに不足しているということだ。
こうしたことに加え、資金拠出について透明性も求められた。資金が適切に使われているのでなければ、途上国の持続可能な開発にあたって意味がないからだ。
こうした問題に加え、これまでの資金の使途も問題となった。これまではほとんどがGHG排出削減のために使われる一方、気候変動に対する適応には使われていないということだ。そのため、今後は適応のためにも資金を活用していくこととなった。
いずれにせよ、長期気候資金を含めた資金拠出の問題は多少の進展はあったものの、議論は継続することとなった。さらに言えば、本質的には数兆ドルの単位で資金が必要となっている。長期気候資金を含めたファイナンスの問題は、南北問題として続いていくだろう。
GHG排出削減目標は上積みされたが1.5℃目標には届かない・・・次ページ
エネルギーの最新記事