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2030年に世界新車販売台数の半数がEVなど次世代車に 矢野経済研究所

2030年に世界新車販売台数の半数がEVなど次世代車に 矢野経済研究所

2021年09月29日

矢野経済研究所は、次世代車(xEV)およびキーデバイス/コンポーネント世界市場の調査を実施し、2030年のEV(電気自動車)などのxEVの世界新車販売台数は5,026万台になると予測した。これは世界の自動車新車販売台数の過半数を占めるという。

2020年の世界自動車新車販売台数は、内燃機関車(ICE)が7,266万台、次世代車(xEV)は582万7,000台となり、合計7,848万7,000台で前年比13.6%減と大きく減少した。生産工場の操業停止、ロックダウンによる一時的な消費活動の制限などが世界経済に影響を及ぼしたことが背景にあるようだ。

一方で、2020年のxEV(HEV、PHEV、EV、FCV)の新車販売台数は前年比19.5%増の582万7,000台と好調に推移した。これは、燃費規制や排ガス規制といった環境規制のほか、各国政府によるEV・プラグインハイブリッドカー(PHEV)に対する購入補助金が販売を後押ししたという。

また、今後はOEM(自動車メーカー)各社がEVへのシフトを進めていることから、EVを中心にxEVの販売台数が増加していくものとみられる。

一方で、xEVはICEに比べた車両価格の高さや、EV、PHEVは充電インフラの整備など、本格的な普及に向けての課題も多い。

現在、主機モータはOEMの内製品が主流となっているが、将来的にxEV需要が拡大して多品種生産されるとOEMの内製品のみでは供給が間に合わなくなると想定される。特に数量が多く、低コストが要求される普及価格帯のxEVに搭載される主機モータは、外部調達によって賄われる見込みだ。

実際に、開発期間の短縮やOEMが注力していないセグメントを製品ラインアップに加えたいなどの目的で、一次請け(ティア1)から次世代電動車の心臓部となる主機モータとインバータ、減速機を一体化したEアクスルを調達するケースが増えているという。

中国などのように急速にEVへのシフトが進み、対応が迫られる状況では、こうしたケースが多くみられる。

また、新興EVメーカーや異業種からの参入企業は、自社で内製するこだわりが既存OEMと比較して少なく、Eアクスルをまるごと調達することに抵抗がない。今後、自動車業界においても水平分業が進んだ場合、主機モータのシェアに変化が出るとみられ、新規参入企業の勢いが既存OEMを脅かす可能性が高まっている。

同研究所は、2030年の世界自動車新車販売台数は、ICE4,942万台とxEV5,026万台の合計で9,968万台、このうちICEは世界自動車新車販売台数の49.6%、次世代車(xEV:HEV、PHEV、EV、FCV)は50.4%を占めると予測している。

欧州では2035年にPHEVを含む内燃機関搭載モデルの販売禁止、米国では2030年に乗用車・小型トラックにおいて、排出ガスを一切出さないZEV(Zero Emission Vehicle)の販売比率50%を目指す。

中国では、中国国内で自動車を3万台以上生産、または輸入する企業に対し、ある比率以上の新エネルギー車(NEV)の販売台数を課すという、「新エネルギー規制」が導入されている。

これに伴い、2030年にNEV40%、低燃費車45%とするなど、主要市場においてxEV普及に向けた目標が掲げられている。また、HondaやMercedes、GMなどがEV専業化する宣言を発表しており、当面はEVを中心としてxEVの普及が急速に進む見通しだ。

xEVを取り巻くマクロ環境は大きく変化しており、今後も動きがさらに活発化していくことが予想される。

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EnergyShift編集部
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