自治体の脱炭素の動きが加速 脱炭素先行地域、応募に取り組む自治体・企業の最新動向を徹底解説 | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

自治体の脱炭素の動きが加速 脱炭素先行地域、応募に取り組む自治体・企業の最新動向を徹底解説

自治体の脱炭素の動きが加速 脱炭素先行地域、応募に取り組む自治体・企業の最新動向を徹底解説

2022年03月11日

2月21日に募集締め切りを迎えた、第1回脱炭素先行地域の募集。地域脱炭素の達成と、それに伴う地域経済の収支改善を目指す地域を100ヶ所以上創出するというこの取り組みは、脱炭素ロードマップの中核を為すものだ。

昨年9月に構想が発表された時から、この第1回募集で20~30の自治体が選定されると予想されてきた。今後は3月以降に評価委員会による評価が行われ、4月頃に選定内容が発表される予定だ。

その募集締め切りのタイミングで、一度、脱炭素先行地域の概要と目的、さらにはどんな自治体がその申請に名乗りを上げているのかを確認していきたいと思う。

脱炭素先行地域の概要とは

そもそも脱炭素先行地域とは何なのか。脱炭素先行地域という名称が、その概要と共に知らされたのは、2021年6月の「地域脱炭素ロードマップ」や同年10月に閣議決定された「地球温暖化対策計画」でのことだが、今回の募集要領には下記のように記されている。

「脱炭素先行地域とは、2050年カーボンニュートラルに向けて、民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴う CO2排出の実質ゼロを実現し、運輸部門や熱利用等も含めてそのほかの温室効果ガス排出削減についても、我が国全体の2030年度目標と整合する削減を地域特性に応じて実現する地域

その上で、先述のロードマップなどでは、地方自治体や地元企業・金融機関が中心となりつつ、環境省を始めとした政府の積極的な支援の下、100ヶ所以上の脱炭素先行地域を創出するとしている。背景には、全国で脱炭素と地方創生を両立した実績を作り上げ、そのメソッドを横展開し脱炭素を達成。さらにそのことを世界に向けて成果を知らしめるという目的もあり、これらの流れを「脱炭素ドミノ」と称している。

また、脱炭素先行地域の選定に関しては、地域特性を踏まえた形で脱炭素に向かうことが前提となる。農山漁村、離島、都市部などそれぞれの地域課題を解決しながら、脱炭素に向かうことが求められており、単に脱炭素に意欲的というだけでは選定に受かりにくい。

なお、脱炭素先行地域で想定される地域は下記の類型に分けられるとされている。

想定される類型の例

住生活エリア住宅地・団地(戸建て中心)
住宅地・団地(集合住宅中心)
ビジネス・
商業エリア
地方の小規模市町村等の中心市街地(町村役場・商店街等)
大都市の中心部の市街地(商店街・商業施設、オフィス街・業務ビル)
大学、工業団地、港湾、空港等の特定サイト
自然エリア農山村(農地・森林を含む農林業が営まれるエリア)
漁村(漁業操業区域や漁港を含む漁業が営まれるエリア)
離島
観光エリア・自然公園等
施設群公的施設等のエネルギー管理を一元化することが合理的な施設群(点在する場合を含む)

次に、脱炭素先行地域の要件(確認事項・評価事項)だが、主に下図の内容にまとめられる。

脱炭素先行地域の選定要件

1-12030年度までに、脱炭素先行地域内の民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを実現すること
1-2地域特性に応じた温暖化対策の取組(民生部門の電力以外のエネルギー消費に伴うCO2やCO2以外の温室効果ガスの排出、民生部門以外の地域とくらしに密接に関わる自動車・交通、農林水産業等の分野の温室効果ガスの排出等についても、地球温暖化対策計画と整合する形で地域特性に応じ少なくとも1つ以上の取組を実施する計画となっていること)
再エネポテンシャル等を踏まえた再エネ設備の最大限の導入
脱炭素の取組に伴う地域課題の解決や住民の暮らしの質の向上
脱炭素先行地域の範囲・規模の特定
計画の実現可能性(計画の具体性、関係者の調整方針等)
取組の進捗管理の実施方針及び体制
改正地球温暖化対策推進法に基づく実行計画の策定等

そして現在進行中の選定では、上記の要件を踏まえたうえで、どれだけ電力消費や再エネポテンシャル、脱炭素を行うことでの地域課題の解消具合や住民の生活の質の向上具合が見込めるか、さらに実現可能性は如何ほどかといったことを考慮し、先行地域にふさわしい候補地が選ばれている状態だ。

脱炭素先行地域に応募した自治体と企業の動向は?・・・次ページへ

高橋洋行
高橋洋行

2021年10月よりEnergyShift編集部に所属。過去に中高年向け健康雑誌や教育業界誌の編纂に携わる。現在は、エネルギー業界の動向をつかむため、日々奮闘中。

エネルギーの最新記事