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日本国内の水素関連市場、2035年度には2020年度比268倍の4.7兆円に 富士経済が予測

日本国内の水素関連市場、2035年度には2020年度比268倍の4.7兆円に 富士経済が予測

2021年10月25日

富士経済は2021年10月19日、日本国内の水素関連市場の調査結果を発表した。この調査では、水素燃料と水素輸送や供給、利用で使用される関連設備や機器の市場の現状を分析し、将来を展望した。また、海外の主要地域の水素ステーションやFCモビリティ(FCV、FCバス、FCトラックなど)、企業動向などもまとめた。

2021年度の市場は、前年度比4.6%増の183億円、2035年度に2020年度比268.6倍の4兆7,013億円に拡大すると見込む。


出所:富士経済

このうち、水素供給と水素利用が市場の大半を占める。水素供給では、商用水素ステーション(ST)が燃料電池車(FCV)の普及に先立ち整備が進展。2020年度に四大都市圏を中心に160ヶ所の水素ステーションを整備するという政府目標も達成された。水素利用では、FCモビリティ(FCV、FCバス、FCトラックなど)の多様化による需要増加、水素発電の実証実験が進んでいる。

今後は、これまでの水素関連機器が中心の設備ビジネスから、水素燃料(水素ガス)が中心の燃料ビジネスに移行していくとみられる。

特にアンモニア発電はCOが排出されないため注目されており、発電の際に用いられるアンモニア調達の目処が立ちつつあることなどから水素発電向けの水素燃料が大きく伸びると予想される。アンモニア発電は、アンモニアと石炭を混焼させる石炭混焼発電を対象とする。アンモニアは、液体水素と異なり、常温で圧力をかけて運べることから水素輸送に適しており、発電用燃料として利用される。2030年度以降はアンモニア発電の設備規模拡大と混焼率の向上が進むとみられ、2035年度は670億円が予測される。

2021年度の水素燃料の市場規模は14億円と予測。このうち一般向けの燃料電池自動車(FCV)向けが7億円、バス向けが5億円としている。トヨタ自動車の新型「MIRAI(ミライ)」の販売台数が増加していることや、東京五輪の開催に向けてFCバスの導入が進んだことで、自動車分野の需要が増え、前年度比55.6%増となった。

中長期的には、発電分野での水素需要が大幅に増加すると予想される。2024年度にNEDOプロジェクトとしてアンモニア発電、2025年度頃に水素ガスタービン発電の実証実験がそれぞれ開始されることが背景にある。さらに、近年FCバスの導入拡大のため、安定した利用による水素STの自立化が予想され、自動車分野の需要もさらに増加するとみられる。また、経済産業省によるグリーン成長戦略において、再エネ導入や水素利用拡大についての目標設定のほか金融政策や炭素税導入、国際協調などで、2030年に水素導入量を最大300万トンにするとまとめており、2035年度の市場は2020年度比3,879.3倍が予測される。

また、バス、トラック、フォークリフト車載用燃料電池スタックの需要も増加し、2035年度に2020年度比41.7倍の1,167億円に拡大すると見込む。現在開発が活発化している船舶や鉄道、ドローン、産業用車両(建築や農機など)で需要が増加することも予測されていることも見込まれる。

日本では、「水素社会」を実現するべく、官民をあげての実証実験などを進めている脱炭素の流れを受け、各社で水素関連の事業化の動きが高まっている

水素は日本の脱炭素や経済成長を支えることになるとして期待が高まっており、今後も水素に向けた国内の動きに注目していきたい。

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EnergyShift編集部
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