1月26日に日本総合研究所(以下、日本総研)とアビームコンサルティングが開催した「企業における脱炭素経営の取り組みの実態」についての報道関係者向け発表会。
前編では、そこで発表された企業のGX(グリーントランスフォーメーション)化に向けての実態と、その背景について説明してきた。後半では、そこで見えてきた課題に対して、両社が示唆した指針をまとめていく。
(前編はこちら)
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出所:アビームコンサルティング作成
前半では企業GXの実態を解説するに当たり、日本総研とアビームが全7業種309社を対象に行ったアンケートの結果を参照。それと共に、GXへの取り組みを「1.戦略」「2.対策」「3.データ管理/報告」の3つに分けて解説した。
まず「1.戦略」については、74%の企業がカーボンニュートラルへのコミットメントを示す一方で、具体的なロードマップ策定やその前段階に当たる温室効果ガス(GHG)排出量の見える化に関しては数字が下がり、対応しきれていないという結果が出た。計画実行の前段階に当たるロードマップ策定の目処が立たねば、企業のGXに対する腰が重くなるばかりなので、ここが脱炭素に向かうため柱となるのは言うまでもないことだろう。
今回、日本総研とアビームの両社は、ロードマップ策定の重要性を説くと共に、その具体的対策を洗い出し。さらに費用対効果の高さを元にして、優先順位をまとめて発表した。そして、再エネ賦課金や燃料調達費が現状のままである場合と、上昇した場合の2つの図に分けて作図したのが下の図になる。
市場環境変化によるGHG削減対策コストの変動イメージ
出所:アビームコンサルティング
具体的対策の中でも、手近ですぐに行える省エネを掲げることを第一としつつ、PPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)にて再エネ電力の調達に係るキャッシュフローの見通しを立てることを優先的にしながら、ロードマップを策定すべきだとしている。一方で、再エネ小売りメニューの導入に関しては市場動向によって、企業の経営に係る負担が変動するため優先順位を見直す場合も提言している。
いずれにしても、これからロードマップを策定するに当たっては、遂行段階において計画見直しも考慮に入れた動きが求められるだろう。実際、カーボンニュートラル宣言に関しては、多くの企業がその達成段階について見直しを公表している。
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