韓国のサムスン電子は11月23日、米南部テキサス州テイラー市に最先端の半導体工場を建設すると発表した。投資額は170億ドル(約1兆9,500億円)。2022年前半に着工し、2024年下半期の稼働を目指す。モバイル機器や自動走行、人工知能(AI)などに使用する半導体の受託生産を行う。
今回のサムスン電子の米国投資は同社の金奇南(キム・ギナム)副会長が今年5月の韓米首脳会談の際に「米国に170億ドルを投資して半導体委託生産を構築する」と発表して公式化された。米政府は半導体業界へ計520億ドル(約6兆円)の補助金を拠出する方針で、同社は補助金支給条件や自治体のインフラ整備などの条件を勘案してテキサス州テイラーに決定したという。新工場が稼働すれば、韓国3ヶ所、米国2ヶ所、中国1ヶ所の生産体制となる。
米国は工場を持たない半導体メーカーが多く、グーグルやアマゾン・ドット・コムなど新たに自前の半導体設計を始めたIT大手も有望顧客となる。ただ、米インテルが外国企業への補助金支出に反対姿勢を強めており、サムスンが予定通り補助金を受け取れるか不透明な面もあるという。
半導体の供給不足は世界的に深刻化しており、サムスン電子は「生産体制の拡大により、顧客のニーズにさらに応えるとともに世界的な半導体の供給網の安定化に貢献していく」とコメントしている。
中国が自国生産の増強を進める中、米政府も戦略分野に位置付けて工場を誘致し、国内生産の拡大を目指す。
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